「猫はパンチできるのに、犬がパンチできないのはなぜ?」…ベテラン整形外科医が〈骨格構造のふしぎ〉を解説

「猫はパンチできるのに、犬がパンチできないのはなぜ?」…ベテラン整形外科医が〈骨格構造のふしぎ〉を解説

人間も動物も、その身体構造の無駄のなさ・機能の高さには驚くべきものがありますが、一般の方々の場合、組織のひとつひとつに注意を払うことはないかもしれません。また、部位によっては「コレは一体なんのためにあるのか?」「果たして役に立っているのか?」と、疑問に思うこともあるでしょう。しかし、医学的見地から見ると、すべてのものに非常に重要な機能や意味が秘められています。ベテラン整形外科医がご説明します。

【Q】人間と猫にあって、犬にない骨とは?

【A】鎖骨です。

 

「え~、だって猫も犬も同じ四足動物でしょう!?」

 

猫、犬をペットとして飼われている方の多くは、そんなふうに思われるのではないでしょうか。また、医師の方でも案外知らない方が多いと思います。実は私自身も、骨を扱う整形外科医になって勉強しました。

 

でも、「鎖骨があろうがなかろうが、生活にあまり関係ないでしょ?」と思われるかもしれませんね。

 

ところが、この鎖骨はなかなか重要で、粋な役割を果たしています。鎖骨がどのような役割を持つのか、考えてみましょう!

「鎖骨」の形態とは? 特徴・役割は?

鎖骨はS字状カーブ形態で、両端には特殊な円板状軟骨があります。

 

鎖骨は胸骨(胸の中央にある板状の骨)と肩甲骨(背中にある三角状の骨)とを結ぶ板状の骨です。形態は特徴的であり、胸郭に沿うようにS字状カーブをしています。胸骨と鎖骨でできる関節を胸鎖関節、肩甲骨と鎖骨でできる関節を肩鎖関節といいます。

 

通常関節は脱臼しないように、向かい合う骨は凹凸の形状をしますが、鎖骨の両端は平坦です。つまり、動きやすくなっている訳ですが、脱臼しないように円板状の特殊な軟骨が肩鎖関節、胸鎖関節には存在します。関節内に円板状軟骨が介在する関節は5つ(顎関節と手関節内に2つ)しかありませんが、うち2つが鎖骨の両端に存在するわけですから、いかに鎖骨は特殊で、自由度が高いか想像できます。

 

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