整形外科医、バレリーナの開脚に呆然「股関節は大丈夫かっ!?」知れば驚く〈人体のスゴイしくみ〉

人間の体は非常に精密な構造となっていますが、なかでも驚くべきは「股関節」のしくみです。四足歩行から二足歩行となった人類の股関節は、水平から垂直化することで、本来的に脱臼しやすい形状となっていますが、それを防ぐために、さまざまな「安全装置」が用意されているのです。ベテラン整形外科医が解説します。

股関節は、緻密な安全装置満載の「ビックリ箱」

バレリーナが足を高く上げて優雅に回転する姿を見るにつけ、その美しさに感嘆するとともに、整形外科医としては「彼女の股関節は一体どうなっているの? 脱臼するのでは!」と心配してしまいます。

 

なぜなら、本来股関節は体重を支持し、安定した歩行を目的とした最大の関節なので、肩関節のような自由で広い運動域はないはずなのです。「安定性(Stability)」と「運動性(Mobility)」は相反するといわれています。グラグラでは歩きづらいですものね。

 

加えて、人間は四足歩行から直立二足歩行へ進化した際に、股関節も水平から垂直化しているため、脚は解剖学的に前方に脱臼しやすくなっているのです。

 

しかし、そう簡単に脱臼しては困りますから、垂直化と同時に股関節周囲には脱臼を防ぐための驚くべき安全装置も作られました。まさしく股関節は安全装置に守られた「ビックリ箱」といえます。そうなると、バレリーナの安全装置は最新式なのかもしれません!

 

そこで今回は「股関節」と「安全装置」についてお話します。

股関節は直立の関節(亜脱臼)

股関節は骨盤の「臼(半円)状の窪み」と大腿骨の「球状の骨頭」からなる球状関節です。

 

骨頭の真上にある「骨盤の臼状窪み」は天蓋(ベッドの上にある天幕)のように見えることから臼蓋(図表1の緑線の箇所)と呼ばれます。

 

臼蓋と骨頭は適合性がよいため、一般的に体重を支持するには好都合といわれていますが、人間の骨頭は、全面的に骨で覆われているわけではありません(図表1の赤線の箇所)。なぜなら、直立二足歩行によって骨盤が水平から約90度垂直に立ったので、前上方の骨頭は骨盤の骨に覆われない部分ができたのです。したがって、骨頭は亜脱臼の状態ともいえます。

 

[図表1]人間と動物の股関節の違い

 

ちなみに、赤ちゃんを三角布で包んでお披露目していた伝統的習慣は、股関節が伸展して股関節脱臼の原因になることがわかりましたので、いまは股関節と膝関節を屈曲させた姿勢(カエル肢位)が推奨されています。

 

[図表2]赤ちゃんの肢位

 

では、この不安定の股関節は、どのように安定させているのでしょうか。ここからは驚くべき安全装置について説明します。

 

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    医療法人 医仁会 高松ひざ関節症専門クリニック 院長

    平成20年、麻植協同病院副院長。平成26年、徳島大学整形外科臨床教授。平成27年、吉野川医療センター (新築移転改名)副院長。
    令和3年より、高松ひざ関節症専門クリニックの院長となる。

    日本整形外科認定医
    日本再生医療学会 会員

    日本リウマチ関節外科学会評議員
    徳島大学医学部整形外科非常勤講師
    中部日本整形外科災害外科学会評議員
    日本リウマチ学会中四国支部評議員
    日本人工関節学会評議員      
    日本関節病学会評議員
    中・四国整形外科学会 評議員
    日本リハビリテーション医学会中国・四国地区代議員
    日本整形外科学会中四国支部代議士 

    著者紹介

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