地方で深刻化する人手不足・若者の流出はITの力で解決できる
2008年から日本の総人口の減少が始まっています。2060年には8,674万人まで減るといわれているんです。
若者の転出を食い止めることは、活力ある地方都市を作るために最重要の課題なんです。
もちろん、これまでもいろいろな対策が講じられてきました。でも、本当に効果があったのかなと思うんです。
観光客の誘致は、全国どこでも同じようなことをしているから、結局観光客の取り合いをしているだけのように感じます。しかも、コロナ禍のようなことがあれば、まったく力を発揮できません。
大手メーカーの工場を誘致することも、大手メーカーの業績悪化によって突然規模の縮小や撤退ということになって、雇用が失われ周辺が寂れるといったことが起こっています。
やっぱり、地元の力で地元の魅力的な仕事を作らなければダメなのだと思います。そう考えたとき、今最も必要で有望なのがIT企業だと思うんです。
地方にこそIT企業が必要だし、その存在が地方活性化のカギを握っていると思います。
たとえば行政の仕事です。過疎化や高齢化が進み、広い範囲に住民や高齢者単身世帯が分散しています。さらに、鉄道路線の廃止や高齢者の自動車運転免許返納も増えているので、確実に情報を行き渡らせ、行政サービスを届けるには、ITを駆使したコミュニケーションツールが欠かせません。
また、行政に従事する職員が減っているなかでも、橋や道路、トンネルなどのインフラ点検や補修の業務を縮小することはできません。もし何かあったら自治体は管理者として大きな責任が問われます。
少ない人数でどうするかと考えたら、ドローンや自動車搭載のカメラによる撮影とAIを駆使した画像の分析が有効です。まずITを使って危険な箇所をピックアップし、本当に必要なところに優先的に人を投入すればいいわけです。
医療や介護の負担も高齢化とともにどんどん増えていくわけですが、遠隔での健康相談や診療もITの力でいろいろ工夫することができます。
最近始まっているのは、個人がもつスポーツクラブなどで得られる健康関連のデータと医療系の健康診断や治療関係のデータを統合して、健康増進や治療に活かそうという試みです。
それらを一つにできればデータとしての有効性は大きくなるはずです。さらにそこにAIによる分析を絡めていけば、個人単位の健康増進策が見えてきて介助を受けなくても日常生活が送れる「健康寿命」を延ばすことにもつながります。