多くの企業では「月次決算」が採用されています。しかし、さらなる利益追求(損失回避)のためには、営業利益をよりタイムリーに把握し、自社の置かれる状況をスピーディーに理解する必要があると、KMS経営会計事務所の代表である公認会計士・税理士の川崎晴一郎氏はいいます。会社の業績を成長させるために経営者はもちろん、現場の営業社員も習得しておくべきスキルとそのメリットについて、詳しくみていきましょう。

現場社員が営業利益をタイムリーに把握するメリット

営業利益をタイムリーに把握すれば行動が変わる

営業利益をタイムリーに把握する目的は、営業利益を増やすためにどう活動を改善するかをタイムリーに考え、行動に移すことです。

 

現場社員が数値を集計し、経営者がその数値を利用するという役割分担はあるものの、現状の営業利益の把握により、営業利益をより改善させるための活動にシフトチェンジしようとする誘因が働きます。

 

営業利益をタイムリーに把握すると、社員レイヤーと経営者レイヤーで次の効果が期待できます。

 

社員がスピーディに無駄なコストに気づく

社員は、自分が関連する業務の営業利益を改善させることができます。営業担当社員が売上を伸ばすのは利益改善として最善の例です。しかし、売上はお客様の選択によるものなので、誰もがそう簡単に伸ばせるわけではないかもしれません。

 

そんななか、誰でもできる身近なことは、無駄なコストをカットすることです。無駄なコストというのは利益獲得に貢献していないコストのことですが、細かいものが積み上がっていることが多く、これらは現場社員が常日ごろから意識しないと気づくことすらままならないものです。

 

社員が自ら数値を集計するようになると、それが経営者や上司に見られている意識が強くなります。すると、見せる数値(営業利益につながる数値)をよりよくしようと行動を改善するようになり、結果として細かいことにも目が行き届くようになるのです。

 

この気づきはスピーディであればあるほど効果が大きくなります。たとえば、つけっぱなしの電気があった場合、今日消すのと明日消すのとではどちらが電気代が安くなるでしょう。当然、今日消すほうが安くなります。

 

会社の無駄なコストも同様です。タイムリーに数値を集計するということは、スピーディに無駄なコストに気づくことになりますので営業利益の増加に貢献します。1人1人の改善効果は小さいかもしれませんが、塵も積もれば山となる、です。

 

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※本連載は川崎晴一郎氏の著書『秒速決算 ~スピーディに人を動かす管理会計で最高の利益体質をつくる!~』(技術評論社)より一部を抜粋・再編集したものです。

秒速決算

秒速決算

川崎 晴一郎

技術評論社

内容紹介(出版社より) 「月次決算待ちだった経営者が、末端部門の数値までもタイムリーに把握できるようになる」 「儲かる仕事を見定め、社内リソースを適時配分することがスムーズになる」 「経営陣と経理のものだった数…

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