一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏による、最新のフィリピンレポート。今週は、多くのフィリピン人が使用するお財布アプリ「GCas」の新しい株取引サービスを中心に解説します。
フィリピン・オフィスの空室率回復に出遅れ感
不動産調査会社Leechiu Property Consultants(LPC)は、マンダルヨン、ベイエリア、アラバンのオフィス賃貸料は、コロナ前に活況であった中国系を中心とするオンラインカジノなどゲーミング会社(POGO)が完全に撤退した場合、月次平米単価600ペソから300ペソへと50%下落するとのレポートを発表しました。Caviteの賃貸料は38%減の250ペソ、Makatiの賃貸料は22%減の700ペソとなると試算しています。
コロナ後のオフィス空室率の回復がスローで、今年のピークが18.2%です。撤退したPOGOがフィリピンに戻って来れば、空室率は低下しますが、フィリピン財務省とグレース・ポー上院議員のPOGOに対する強硬姿勢からすると、POGOの大きな復活は難しいと見られています。
このため、フィリピンのオフィス開発不動産ディベロッパーの本格的な業績回復には時間がかかると見られています。一方で、賃貸料の低下が予想されるため、より多くのBPOを引きつけ、より安定したテナントベースを獲得できるという中長期的なプラス効果も指摘されています。
一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブディレクター
慶応義塾大学経済学部卒業後、東急電鉄に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア・ユニシス)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施。現在、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産の販売やフィリピンへの事業進出のアドバイスを行っている
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