(※画像はイメージです/PIXTA)

親が認知症になり、介護しなければならなくなった場合、経済的・心理的負担はきわめて重くなります。特に、介護のために仕事を休まなければならなくなった場合、大幅な収入減のリスクがあります。また、最悪の場合、介護のために離職しなければならないケースも考えられます。そこで、介護離職を避けるために活用すべき重要な公的保障の制度について、「給料の3分の2」をもらえる方法を中心にお伝えします。

1時間単位で取得できる!介護休暇の制度と取得要件

2つ目の制度は、介護休暇の制度です。

 

これは、家族が2週間以上にわたって常時介護を必要とする状態にある場合に、介護のため、年次有給休暇とは別に取得できる休暇です。

 

対象となる家族の範囲と、常時介護を必要とする状態の意味は、介護休業制度と同じです。

 

1年度あたり最大5日間取得できます(介護の対象となる家族が2名以上の場合は10日間)。また、1日単位だけでなく、時間単位での休暇取得ができます。

 

介護休暇の活用が想定されているケースは、家族の世話だけでなく、通院等の付き添いや、介護サービスの手続の代行、ケアマネジャーとの短時間の打ち合わせを行うといったケースです。

 

介護休業制度と同じく、法律上の制度なので、勤務先の就業規則に規定されているかいないかにかかわらず、取得が認められています。

 

労働者から申し出があった場合には、勤務先は拒否できません。また、介護休暇の取得を理由として不利益な扱いをすることも禁じられています。

 

ただし、有給か無給かは勤務先の規定によります。無給の場合は、まず有給休暇を使ってから介護休暇を取得することが想定されます。また、非正規雇用の労働者でも利用できますが、以下の労働者は対象外です。

 

・入社6ヵ月未満の労働者

・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

企業に対する助成金の制度も

これらの制度は、いずれも、勤務先企業等の理解やサポートがなければ、絵に描いた餅になってしまう可能性があります。特に、中小企業において深刻な問題です。

 

そこで、実効性を持たせるための措置の一環として、中小企業に対し、以下の3つのいずれかの場合に助成金を支給する「介護離職防止支援コース」という制度があります。

 

1.介護休業:介護支援プランに基づき、介護休業・介護休暇を取得し、または復帰した者が出た場合(介護休暇・休業5日以上取得)

2.介護両立支援制度:介護支援プランに基づき、仕事と介護との両立に資する制度を利用した者が出た場合(制度利用日数20日以上)

3.新型コロナウイルス感染症対応特例:家族を介護するために有給休暇(新型コロナウイルス感染症対応)の利用者が出た場合

 

助成の金額は【図表2】の通りです。

 

厚生労働省HP「2022年度の両立支援等助成金の概要」より
【図表2】中小企業を対象とした介護離職防止支援コースの助成金支給額 厚生労働省HP「2022年度の両立支援等助成金の概要」より

 

このように、介護をしながら仕事をできるだけ続けるための公的制度が整備されており、それをサポートする体制も充実してきています。

 

介護は長期にわたる可能性があり、介護疲れも介護離職も防がなければなりません。また、今後、超高齢化社会を迎えるにあたり、これらの制度をフルに活用することが重要になってきます。それと同時に、企業レベル、国レベルでのより一層のサポートが求められます。

 

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