(※写真はイメージです/PIXTA)

昭和時代の家族のスタイルである、家庭を守る主婦と外で働き生活費を稼ぐ夫というモデルはすでに過去のものとなり、現在では夫婦2馬力で稼ぐことが当たり前となりました。マイホーム購入も、夫婦のペアローンなら選択肢が増えて夢が広がりますが、実は注意すべき問題もはらんでいます。

高額な物件も照準に入る「ペアローン」だが…

現在の日本では、夫婦共働きがスタンダートとなっています。そのため、マイホーム購入の住宅ローンも、「ペアローン」を選択する家庭が増えているのです。

 

ペアローンは夫婦それぞれの分担で返済します。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)も夫婦それぞれに適用され、また、団体信用生命保険も夫婦それぞれが加入することになります。

 

しかし、なんといっても最大のメリットは、単体では借りることのできない金額のローンを借りられることでしょう。つまり、ひとりなら予算オーバーとなる物件も、ペアローンなら手が届くのです。

 

ペアローンの場合、一般的なのは、夫婦それぞれの借入額の比率と、物件の持ち分(所有権)比率を合わせるケースです。たとえば、7,000万円の物件なら、夫が3,500万円、妻が3,500万円のペアローンをそれぞれ組んで購入し、持ち分比率を、夫が50%、妻が50%にするということです。

 

持ち分比率=ローンの借入額の比率でなくてもかまいませんが、住宅ローンの負担率と、持ち分比率が異なると、どちらか一方への利益供与とみなされ、一方が比率に応じた贈与税を払う必要がでてくる可能性があります。

 

No.4411 共働きの夫婦が住宅を買ったとき(国税庁ウェブサイト)


共働きの夫婦が住宅を購入するとき、その購入資金を夫婦共同で負担する場合があります。

 

そのようなときに、実際の購入資金の負担割合と所有権登記の持分割合が異なっている場合には、贈与税の問題が生ずることがあります。

 

例えば、総額3,000万円の住宅を購入し、夫が2,000万円、妻が1,000万円の資金負担をしたものの、所有権の登記は夫と妻それぞれの持分を2分の1とした場合です。

 

この場合、妻の所有権は登記持分の2分の1ですから、3,000万円の2分の1の1,500万円となります。しかし、購入のための資金は1,000万円しか負担していませんから、差額の500万円については夫から妻へ贈与があったことになります。

 

この事例の場合、資金の負担割合に応じて夫3分の2、妻3分の1の所有権登記がなされていれば、贈与税の問題は生じません。

 

出所:「No.4411 共働きの夫婦が住宅を買ったとき」

 

またペアローンの場合、事務取扱手数料や印紙税、保証料抵当権設定費用など、それぞれの契約ごとにかかります。結果的に、単体でローンを組むよりも費用負担が増える可能性もあるため、契約にあたっては慎重な調査が必要です。

マイホーム購入後に訪れるかもしれない「最悪の事態」

また、頭を痛めている方が多いのが、離婚時の返済です。物件の売却でスッキリと解決できればいいのですが、売却後も債務が残るケースは多く、また、片方が物件に住み続けるなどの理由で売却できない場合、問題は複雑化します。

 

「まさか、うちが離婚なんて…」と思う方も多いと思いますが、厚生労働省の『人口動態調査』によれば、2020年の離婚件数は19万3,253組です。

 

婚姻数自体が減少しているため、離婚件数は減少傾向ですが、婚姻年数別にみていくと、5年に至らず離婚に至る割合は32.5%と、短期間で別離の道を選ぶ夫婦が少なくありません。一方で「15~20年」が11.6%、「20~25年」が9.6%。過去20年と比較すると、婚姻年数15年以上の割合は増加傾向なのです。

 

近年では、再雇用等で70歳ぐらいまで働き続ける人が増えていますが、定年退職後の収入は3割程度減少するのが一般的です。

 

もし定年を境に離婚、しかしマイホームの売却ができない…という事態に陥ったら目も当てられません。ローン返済が残るばかりか、別途住居費も必要なうえ、さらに収入3割減となったら最悪です。想像したくありませんが、生活資金が年金だけの方がこの状況に追い込まれたなら、遠くない先に生活破綻が見えてきます。

 

人生最大の目標である「マイホーム購入」ですが、状況によっては最悪の事態も起こりううるリスクをはらんでいます。様々な不安要素を見据えたうえで、慎重に検討することが重要です。

 

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