では、収入300万円超なら必ず事業所得になるのか?
上記の改正はあくまで「副業で300万円以下」のケースについて言及しているだけですので、「副業で300万円超」の場合や、本業の場合は必ず事業所得になるのかというと、そうではありません。
こういった場合は従来通り、事業的規模であれば事業所得、小規模であれば雑所得になりますが、先述のとおりどこからが事業的規模なのか明確な基準は法律で定められていません。
そこで、過去に裁判で争われたときの判断基準を参考に、事業的規模なのか否かを総合判断する必要があります。
判例によって判断基準もまちまちなのですが、主に争点となっている判断基準をまとめると次の5つがあります。
【事業所得と雑所得の主な判断基準】
1. 営利性
2. 継続性
3. 独立性
4. 社会的地位
5. 生活状況
以下、それぞれの判断基準についてかんたんに解説していきますが、そこまで知りたくない方は続きを読む必要はありません。
事業所得と雑所得の主な判断基準
■判断基準1. 営利性
営利目的の事業としてきちんと対価を受け取っているとか、今は赤字でも儲かるビジネスにするために活動していれば、営利性は問題ありません。
一方で、半分趣味の活動なのでタダ同然の価格で販売しているとか、どんどん経費を注ぎ込んで多額の赤字がずっと続いている場合など、営利目的ではなく楽しむことや節税が目的だと見られてしまうと、雑所得だと判断されるおそれがあります。
■判断基準2. 継続性
事業として取り組んでいれば当然活動期間も長くなりますし、取引の回数も多くなります。
一方、たまにしか活動していないときや、単発で収入があっただけの場合、あるいは何の届出も広報活動もしていないとか、事業を継続する意思がみられないような場合も、継続性に疑問を持たれてしまいます。
■判断基準3. 独立性
自分で帳簿付けや収支計算をして切り盛りしていたり、事業に必要な人材や設備を揃えたりしていれば、独立して事業運営をしていると言えるでしょう。
しかし、他人が切り盛りをしている事業を手伝っているだけの場合や、人材や設備を他人に用意してもらっているような状態であれば、自分で計算して責任を持って運営している事業とは言えない場合があります。
■判断基準4. 社会的地位
副業でも規模が大きくて、社会的に事業として認知されていれば問題ありません。
しかし、例えばある会社で役員になっていて、収入の大半がその会社の役員報酬である人が、副業で若干の収入を得たところで、その副業が事業と呼べるほどの社会的地位を得られるでしょうか?
副業の収入や活動時間が少なければ、その人の社会的地位はあくまで会社役員であり、副業は事業と呼べるほどの規模ではないと認識されてしまう可能性が高いでしょう。
■判断基準5. 生活状況
例え事業の収入が少なくても、生活の大半をその事業活動に注ぎ込んでいる場合は、事業として認められる可能性が高まります。
一方で、会社員や学生、子育て中の主婦など、生活の中心が事業以外の活動に充てられている状況があれば、事業として認められないリスクが上がります。
\「税務調査」関連セミナー/
「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー