2022年9月調査 日銀短観 予測 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

大企業・製造業・業況判断DI+10程度と、6月調査+9から僅かな上昇を予測

 

同・非製造業・業況判断DI+10程度と、6月調査+13から低下を予測

 

 

●9月調査日銀短観ではエネルギー価格・食品価格の高騰や、半導体で在庫調整の動きがあることなどのマイナス材料があるものの、新型コロナの感染対策が行動制限のないものに変わったための需要回復などのプラス材料もある。大企業・製造業の業況判断DIは+10程度と6月調査の+9から1ポイント程度、僅かに改善すると予測した。

 

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは+10程度と、こちらは6月調査の+13から3ポイント程度低下するとみた。円安によるコスト増での業績押し下げ効果、価格上昇による需要減少、新型コロナ感染者数第7波の影響で、顧客の動向が行動制限されている状況とあまり変わらなかったことなどが背景にあろう。

 

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(9月調査)やロイター短観(9月調査)などを参考にした。

 

●9月13日に発表されたQUICK短観9月調査の調査期間は8月30日から9月8日である。製造業の業況判断DIは6月調査の+18から僅かに1ポイント上昇し+19となった。また、非製造業の業況判断DIは6月調査の+31から10ポイント低下の+21となった。

 

 

●9月14日に発表されたロイター短観9月調査の調査期間は8月31日から9月9日である。9月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+9から僅かに1ポイント上昇し+10になった。また、9月調査200社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+14と同じ+14になった。

 

 

●ロイター短観9月調査400社ベースの非製造業の業況判断DIは6月調査の+13から2ポイント低下し+11になった。9月調査200社ベースの非製造業の業況判断DIは6月調査の+27から18ポイント低下し+9になった。

 

●なお、9月調査の大企業・製造業の業況判断DIが予測通り+10程度なら6月調査の「先行き見通し」+10と同水準になる。景況感が事前予想どおりの動きだったことになる。また大企業・非製造業が予測通り+10程度なら、事前予想の6月調査の「先行き見通し」+13から3ポイント程度、景況感が下振れたということになろう。

 

●QUICK短観9月調査の製造業の12月までの「先行き見通し」は+18で9月実績の+19より1ポイント低下の見込み、一方、非製造業の12月までの「先行き見通し」は+24で9月実績の+21から3ポイント上昇の予想である。

 

●ロイター短観9月調査の12月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+10と9月実績の+10から横這いの見込み、製造業・200社ベースで+14と9月実績の+14からこちらも横這いの見込みである。一方、非製造業・400社ベースの12月までの「先行き見通し」は+14と、9月実績の+11から3ポイント上昇の見込み、非製造業・200社ベースで+3と9月実績の+9から6ポイント低下になる見込みである。

 

●日銀短観の大企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業は9月実績比横這いの+10程度、非製造業は9月実績比僅か1ポイント上昇の+11程度と予測した。物価高騰が秋にかけても続きそうなことなど、先行きの不透明さが景況感改善の足踏み材料になりそうだ。

 

●9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲4程度と6月調査の▲4と同程度になると予測した。非製造業は6月調査の▲1から3ポイント程度悪化し▲4程度になるとみた。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。

 

●参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が21年12月調査46.5、22年1月調査43.9、2月調査42.1、3月調査42.0、4月調査42.9、5月調査46.6、6月調査45.3、7月調査44.1、8月調査45.3と推移している。

 

●一方、非製造業は21年12月調査46.8、22年1月調査41.0、2月調査39.1、3月調査40.3、4月調査40.8、5月調査46.7、6月調査45.9、7月調査44.8、8月調査45.1と推移している。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

 

●日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが▲4程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」の▲5より1ポイント高い水準で、事前の見通しより僅かに良かったことになろう。また中小企業・非製造業が▲4程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」の▲5より1ポイント高い水準で、事前の見通しよりは僅かだが良かったことを意味しよう。

 

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、製造業で9月実績比横這いの▲4程度、一方、非製造業は9月実績比4ポイント悪化の▲8程度と予測した。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみる傾向があるというクセも考慮した。

 

●日銀短観の設備投資計画の予測には、他の設備投資計画調査、景気ウォッチャー調査から作成する設備投資DIや、過去の修正パターンなどを参考にしている。他の設備投資計画調査を見ると、法人企業景気予測調査の全産業の計画は4~6月期調査では前年度比+16.0%だったが7~9月期調査では僅かに0.2ポイント上方修正され、+16.2%になった。

 

●22年度の大企業・全産業の設備投資は前年度比+19.0%程度と予測した。6月調査の同+18.6%から増加率が若干高まると予測した。

 

●22年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲0.4%程度と、6月調査の同▲1.4%からやや上方修正されると予測した。中小企業の設備投資は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向がある。今年度の9月調査は6月調査より小幅改善するとみた。

 

 

(2022年9月14日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年9月調査 日銀短観 予測』を参照)。

 

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

    旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
    パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
    著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

    著者紹介

    連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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