2022年7月分「機械受注」のデータ (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

7月分機械受注(除船電民需)は、減少予想に反し、前月比+5.3%と2ヵ月連続増加

 

製造業・前月比▲5.4%と2ヵ月ぶり減少、非製造業は前月比+15.1%と2ヵ月ぶり増加

 

3ヵ月移動平均4ヵ月連続の増加もあり、「持ち直しの動きがみられる」の判断が継続に

 

7~9月期見通し前期比▲1.8%は8~9月・前月比各▲5.6%で達成。各0.0%なら+3.9%増加

 

 

●7月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+5.3%。2ヵ月連続の増加になった。3ヵ月移動平均は前月比+0.1%とぎりぎりだが4ヵ月連続の増加になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+12.8%で16ヵ月連続の増加になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回6月分では、製造業の造船業で1件(内燃機関1件)、製造業のその他製造業で1件(内燃機関1件)の計2件だった。今回7月分では、該当なしだった。

 

●7月分製造業の前月比は▲5.4%と2ヵ月ぶりの減少になった。7月分の製造業では17業種中、非鉄金属、繊維工業など6業種が増加した。一方、化学工業、造船業など11業種が減少した。

 

●7月分非製造業(除船電民需)の前月比は+15.1%と2ヵ月ぶりの増加になった。電力業の大型案件は6月分では1件(火水力原動機)あったが、7月分では該当なしだった。電力業の前月比は▲23.2%と2ヵ月ぶりの減少となった。7月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比+12.1%と2ヵ月連続の増加となった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。運輸業・郵便業、不動産業などが増加に寄与した。一方、鉱業・採石業・砂利採取業、卸売業・小売業などが減少に寄与した。

 

●大型案件は、前回6月分では、全体で7件だった。前述した民需の3件(製造業2件、非製造業・電力業1件)と、官公需が1件(防衛省で、航空機1件)、外需が3件(火水力原動機1件、航空機1件、電子計算機等1件)であった。今回7月分では、全体で3件だった。官公需が2件(地方公務で、その他産業機械1件、その他官公需で、その他産業機械1件)、外需が1件(電子計算機等1件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は7月分前月比▲4.7%と2ヵ月連続の減少となった。前年同月比は▲10.5%と2ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は、7月分の前月比が▲2.4%と3ヵ月連続の減少になった。前年同月比は+3.0%で5ヵ月連続の増加になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、21年8月分・9月分・10月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」であった。11月分では「持ち直しの動きがみられる」に、さらに12月分では「持ち直している」に上方修正され、22年1月分では判断据え置きとなっていた。しかし、2月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が下方修正され、3月分でも前月比は増加に転じたものの、3ヵ月移動平均の前月比が減少であることなどから、判断据え置きになった。4月分では、「持ち直しの動きがみられる」へと4ヵ月ぶりに上方修正された。3ヵ月移動平均の前月比が連続して増加したことで、5月分・前回6月分・今回7月分とも、「持ち直しの動きがみられる」の判断が継続となった。

 

●機械受注(除船電民需)7~9月期の前期比見通しは▲1.8%である。8月分~9月分の前月比が各々▲5.6%の減少で、7~9月期の前期比見通しは達成される。8月分~9月分の前月比が各々0.0%と横ばいなら、7~9月期の前期比は+3.9%の増加になる。

 

●7~9月期の前期比実績は09年(平成21年)から21年までの13年間でみると、上振れ10回、下振れ3回であり、上振れしやすい傾向がある四半期である。また、22年(令和4年)7~9月期の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率99.3%をかけたものであり、見通しの算出に使った達成率が100%より若干低いこともあり、先行き不透明な環境は設備投資に厳しいものではあるが、GX投資、DX投資などの今やらなければならない投資もあり、今年も実績が上振れる可能性が大きいと思われる。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、22年1月33.3(回答した景気ウォッチャー・3人)、2月64.3(同7人)、3月43.8(同8人)、4月37.5(同4人)、5月37.5(同6人)、6月28.6(同7人)、7月42.9(同7人)、8月46.9(同8人)と推移している。8月では「客の設備投資意欲に変化はみられない。(東北:通信会社〔営業担当〕)」というコメントがあった。

 

 

一方、設備投資関連・先行き判断DIは22年1月37.5(回答した景気ウォッチャー・8人)、2月は66.7(同3人)、3月は37.5(同6人)、4月25.0(同2人)、5月43.8(同8人)、6月50.0(同6人)、7月50.0(同3人)、8月60.7(同7人)と推移している。8月では「年末に向けて新型コロナウイルスの感染状況が収束に向かえば、客先のリニューアルで設備投資がある程度期待できる。(東海:電気機械器具製造業〔経営者〕)」というコメントがあった。

 

●日本工作機械工業会によると、22年8月分速報値の工作機械の国内向け受注額の前年同月比は+16.3%と、21年3月分+18.2%、4月分+70.6%、5月分+82.6%、6月分+91.1%、7月分+82.9%、8月分+93.2%、9月分+90.2%、10月分+74.1%、11月分+84.9%、12月分+60.8%、22年1月分+67.3%、2月分+60.4%、3月分+48.8%、4月分+47.5%、5月分+48.9%、6月分+31.3%、7月分+14.5%に続き、前年同月比・伸び率は一時期よりは鈍化したものの18ヵ月連続の増加になった。

 

●機械受注統計での民需からの工作機械受注も前年同月比2ケタ増加の動きになっている。22年7月分の前年同月比+10.4%と、21年3月分+17.0%、4月分+71.4%、5月分+85.6%、6月分+77.2%、7月分+84.8%、8月分+91.4%、9月分+80.1%、10月分+63.5%、11月分+90.7%、12月分前年同月比+67.8%、22年1月分前年同月比+59.4%、2月分+55.6%、3月+44.4%、4月+39.4%、5月分+46.5%、6月分+21.8%に続き、17ヵ月連続の増加である。

 

(2022年9月14日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年7月分「機械受注」のデータ』を参照)。

 

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

    旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
    パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
    著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

    著者紹介

    連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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