※画像はイメージです/PIXTA

最近は、手数料の安さや金利が比較的高いなどの理由でネット銀行を利用する人が増加しています。それに伴い、相続が発生した際、被相続人から口座残高を相続できない事例も増えています。ネット銀行は通帳やキャッシュカードが発行されないこともしばしばあり、相続が発生したときに口座を発見できないのです。ネット銀行の相続についてみていきます。

ネット銀行の財産を相続してもらうための生前対策

ネット銀行の財産を相続してもらうために、生前に準備するとよいことがいくつかあります。遺族にネット銀行口座がすぐにわかるよう準備しておけば、口座を調査する労力は必要なし。ネット銀行に預けた財産の相続がスムーズに進みます。

 

しかし、万一、遺族がネット銀行に口座があることにまったく気づかなければ、貴重な財産が無駄になってしまいます。無駄を避けるためには、きちんとした準備が大切です。準備といっても、難しいものではありません。

 

財産目録にネット銀行の口座に関する内容の記載がある遺言書を作成する

わかりやすい準備は、遺言書の財産目録にネット銀行口座を書いておき、遺言書があることを家族に知らせることです。代表的な遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

 

自筆証書遺言は、自分で記載し、署名、押印する遺言書です。財産目録はパソコンで作成してもかまいませんが、財産目録以外の自筆証書遺言の記載部分は肉筆で書く必要があります。手軽に作れますが、記載内容に法的な不備があると無効になり、紛失の危険性もあります。

 

公証人が本人の口述にもとづいて作成するのが公正証書遺言です。公証人が関与しますから、法的な不備の心配はありません。公証人役場に保管されますから、紛失の危険もありません。ただし、公正証書遺言の作成には一定の費用がかかります。

 

遺言書を作成しない場合は、金融資産の一覧を表にして、家族に伝えておく

遺言書を作成しない場合は、金融機関名、支店名、口座番号を明記した金融資産の一覧表を作り、保管場所を家族に伝えておけば安心です。家族に一覧表を渡しておくとより確実です。金額を書く必要はありません。

 

【金融資産一覧表に書かない方がいいこと】

暗証番号

ログインID

パスワード

 

一覧表を作ったのちに新たに口座を設けた場合は、一覧表に追加しましょう。解約した口座がある場合は削除してください。その都度追加や削除しておけば、家族は正しい口座を把握できます。どの金融機関に口座があるのか調査する必要がなくなりますから、相続手続きはスムーズに進みます。ネット銀行に口座があることに気づかないまま、遺産相続漏れが発生する心配もありません。また、財産漏れで追徴課税の心配もなくなります。

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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