写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏による、最新のフィリピンレポート。今週は、コロナ後の経済復興・活性化を図っているフィリピンのIPOの動向をみていきます。

フィリピン新規株式公開…基準緩和と税優遇で増加

フィリピン証券取引所(PSE)によると、今年の新規株式公開(IPO)の数は、昨年の上場基準の緩和とパンデミック対応の下でのIPO税の廃止の結果、増加しています。

 

PSEの上場および開示規則の修正は、昨年3月に証券取引委員会(SEC)によって承認されました。そのうちの1つは、IPOの期限付き救済措置です。従来過去3会計年度の収益性が審査対象でしたが、コロナの影響を受けた年を除く直近3会計年度の中の2会計年度の収益性で審査されます。

 

時価総額テストはメインボードの上場要件から削除。利益テストは、過去3年間の総純利益が7,500万ペソ、直近会計年度の純利益が5,000万ペソに下方修正されました。従来の利益テストでは、過去3年間の各年度5,000万ペソの要件があり、さらに各年で1,000万ペソのEBITDAが基準として使用されていました。中小企業向け市場(SMEBoard)への上場申請の場合、申請者はEBITDA要件を満たすか、純売上高または営業収益を満たすかを選択できるようになったのです。

 

PSEはまた、SME Boardへの上場に関して、事業遂行年数要件を、以前の3年から2年に短縮しました。さらに、PSE上場基準のその他の修正には、5億ペソの最低時価総額の撤廃と、メインボードの申請者の財務状況の尺度としての5億ペソの最低株主資本の賦課が撤廃されました。SME BoardへのIPO申請者は、申請前の過去2~3会計年度のEBITDAがプラスである必要はなく、最低1億ペソの資本金規制もなくなったのです。

 

また、今般SME Boardへの上場に関しては、ロンドン・AIMやシンガポール・カタリストなどの新興市場にも採用されているやスポンサー方式が導入されました。これにより、PSEによって認定されたスポンサー(証券会社、投資銀行など)の保証によって上場する道も開かれました。

 

「SME Boardの上場要件を満たさないものの、収益性が高く、大きな成長見通しがある場合に、エクイティファイナンスを通じて資本を調達する機会を平等に与えることを望んでいます」と証券取引所のCEOは言及しています。PSEは、この下半期に少なくともあと3社のIPOを見込んでおり、今年のIPO数は26年ぶりの高水準になる見通しです。

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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