2022年4~6月期実質GDP(第2次速報値)について (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

実質GDP成長率は前期比年率+3.5%に第1次速報値+2.2%から上方修正

 

実質・前期比で、個人消費、設備投資、政府消費、公共投資、民間在庫変動が上方修正

 

実質GDP544兆円に。コロナ禍前の19年7~9月期557兆円以来の水準に

 

 

●22年4~6月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比+0.9%、前期比年率+3.5%となり、第1次速報値の前期比+0.5%、前期比年率+2.2%から上方修正となった。法人企業統計を受けての設備投資、民間在庫変動が上方修正された。また、個人消費、政府消費、公共投資の実質・前期比が上方修正された。一方、控除項目の輸入の実質・前期比が下方修正され、実質GDP成長率を若干押し上げた。

 

●実質GDPに交易利得と「海外からの所得の純受取」を加えた、かつての実質GNPと同様の概念である実質GNI(国民総所得)の22年4~6月期は、第2次速報値で前期比+0.2%となり、第1次速報値の前期比▲0.1%の減少から増加に上方修正となった。

 

●22年4~6月期名目GDPの季節調整値は547.47兆円で直近のボトムだった20年4~6月期の510.44兆円と比較すると37.04兆円高い水準で、コロナ禍でのピークだった20年10~12月期の546.19兆円を1.28兆円上回る水準になった。しかし、まだコロナ禍前のピークだった19年7~9月期の561.92兆円からは14.45兆円低い水準である。

 

●実質GDPの季節調整値は、22年4~6月期は第一次速報値の542.12兆円から544.02兆円に上方修正された。 コロナ禍でのピークだった、新型コロナの感染者が初めて出た四半期の20年1~3月期の543.91兆円を1.13兆円上回った。コロナ禍前の19年7~9月期の557.27兆円以来の水準である。コロナ禍前のピークの19年4~6月期(実質では名目とは異なり7~9月期ではない)の557.29兆円よりは13.27兆円低い。

 

●4~6月期名目GDP成長率・第2次速報値は前期比+0.6%、前期比年率+2.5%となり、第1次速報値の前期比+0.3%、前期比年率+1.1%から上方修正となった。

 

●4~6月期の実質個人消費・前期比は、第1次速報値の+1.1%の増加から前期比+1.2%の増加へと0.1ポイント上方修正となった。実質家計最終消費支出の前期比は+1.2%の増加で変わらなかった。

 

●1~3月期の実質設備投資・前期比は第1次速報値の+0.5%の増加から前期比▲0.7%の減少へと1.2ポイント下方修正となった。設備投資は、需要側推計値(仮置き値)+32.2%だった需要サイドの名目原系列前期比が法人企業統計等を踏まえて計算すると+28.9%へと3.3ポイント低下している。

 

●実質国内家計最終消費支出の前期比は、第1次速報値の+1.1%の増加から前期比+1.2%の増加へと0.1ポイント上方修正となった。その内訳をみると、耐久財が第1次速報値の実質前期比+0.3%から第2次速報値で+0.9%へと上方修正された。半耐久財の前期比は+4.2%で第1次速報値の+3.9%から上方修正された。非耐久財は前期比+0.3%で、第1次速報値の+0.4%から僅かに下方修正された。サービスの前期比は+1.4%で第1次速報値の+1.4%と変わらなかった。

 

●4~6月期の実質住宅投資は、前期比▲1.9%で第1次速報値と変わらなかった。

 

●4~6月期の実質設備投資・前期比は第1次速報値の+1.4%から前期比+2.0%へと0.8ポイント上方修正となった。設備投資は、第1次速報値段階で需要側推計値(仮置き値)▲32.1%だった需要サイドの名目原系列前期比が法人企業統計等を踏まえて計算すると▲29.1%へとマイナス幅が3.0ポイント縮小している。

 

●4~6月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.3%と第1次速報値の▲0.4%から0.1ポイント上方修正された。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度▲0.0%で第1次速報値▲0.0%と同じだった。流通品在庫は前期比寄与度▲0.1%で第1次速報値の▲0.1%と同じになった。法人企業統計を使って推計された原材料在庫前期比寄与度は仮置き値だった第1次速報値の▲0.1%から0.0%に上方修正された。同じく仮置き値の仕掛品在庫前期比寄与度は第1次速報値では▲0.3%だったが第2次速報値では▲0.2%になった。法人企業統計のデータが加わったことが、民間在庫変動の実質・前期比寄与度が上方修正された主因である。

 

●4~6月期実質政府最終消費支出は前期比+0.7%で第1次速報値の+0.5%から0.2ポイント上方修正となった。また、4~6月期実質公共投資は第1次速報値の+0.9%から+1.0%に上方修正となった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%で第1次速報値の▲0.0%と変わらなかった。公的需要全体の前期比寄与度+0.2%で第1次速報値+0.2%と変わらなかった。

 

●4~6月期の外需(純輸出)の前期比寄与度は第1次速報値の0.0%から+0.1%に上方修正となった。実質輸出の前期比は+0.9%で第1次速報値の+0.9%と同じだったが、控除項目の実質輸入の前期比が+0.6%と第1次速報値の+0.7%から0.1ポイント下方修正となった。

 

●4~6月期のGDPデフレーターの前年同期比は▲0.3%で第1次速報値の▲0.4%から0.1ポイントマイナス幅が縮小した。国内需要デフレーターの前年同期比は+2.6%で第1次速報値の+2.6%と同じだった。

 

●4~6月期第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.1%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目中プラス寄与は3項目で、大きな方から流通在庫、製品在庫、原材料在庫の順になっている。仕掛品在庫だけがマイナス寄与であるということだった。第2次速報値ででは民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.4%に上方修正された。4項目全てプラス寄与で、大きな方から仕掛品在庫、原材料在庫、流通在庫、製品在庫の順になっていたということだった。仕掛品在庫、原材料在庫が上方修正の主因とみられる。

 

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、7~9月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲5,350億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲1,978億円である。

 

●「令和4年度の内閣府年央試算」の22年度実質GDP成長率・前年度比+2.0%を達成するには、22年度残り3四半期で各々前期比年率+1.7%(前期比+0.41%)が必要である。21年度から22年度へのゲタは+0.5%に+0.4%から上方修正された。なお、22年度各四半期が前期比0.0%ずつだと22年度実質GDP成長率・前年度比は+1.3%に、前期比+0.5%ずつだと22年度実質GDP成長率・前年度比は+2.1%になる。

 

 

●11月15日に公表される7~9月期の実質GDP第1次速報値を7月分のデータから考察してみる。

 

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の7月分対4~6月平均比は+12.4%の増加になった。同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同▲1.9%の減少だ。商業販売額指数・小売業の7月分対4~6月平均比は+0.1%の増加になった。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の7月分対4~6月平均比は▲0.7%の減少である。乗用車販売台数の7月分対4~6月平均比は+7.7%の増加である。強弱両方のデータが出ている感じがする。

 

●家計調査と同時に発表される総務省の総消費動向指数は、個人消費の97%に当たる家計最終消費支出の推移を様々な月次データによる時系列回帰モデルによって求めたものだ。実質総消費動向指数の7月分対4~6月平均比は0.0%と横這いである。また、需要サイドのデータを使用しないで、財とサービスに関する各種の販売・供給統計から算出している日銀の実質消費活動指数(旅行収支調整済)をみると、7月分対4~6月平均比は▲0.2%の減少である。総合的に考えると、7~9月期の個人消費は、7月分のデータを見る限り、前期比増加になるか減少になるか微妙な状況にあるとみられる。

 

●設備投資の関連データである資本財出荷指数(除、輸送機械)の7月分対4~6月平均比は+11.3%の増加になった。建設財出荷指数は同▲2.3%の減少である。総合的に考えると、供給サイドから推計される7~9月期第1次速報値の実質設備投資は、7月分の供給サイドのデータからみると前期比増加の可能性が大きいとみられるスタートである。

 

●実質輸出入の動向をみると輸出の7月分対4~6月平均比は+3.1%の増加になった。控除項目の輸入は同+2.2%の増加になっている。7月分のモノ分だけでみると、7~9月期の外需の前期比寄与度はプラスの可能性が大きいが、サービスの動向や、8月分・9月分のモノの動向次第で前期比寄与度がどうなるかは微妙な状況だろう。

 

●7~9月期実質GDP第1次速報値は、前期比は増加の可能性が大きそうだ。但し、エネルギー価格、食品価格などの上昇の影響などの不透明材料も多く、予断を持つことなく8月分・9月分のデータをみていきたいところだ。

 

 

(2022年9月8日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年4~6月期実質GDP(第2次速報値)について』を参照)。

 

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

    旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
    パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
    著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

    著者紹介

    連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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