再び下落の米国株式市場
<金利上昇に伴う株価水準の修正>
■8月の米国株式市場は、月前半、物価に対する楽観的な期待や景況感の大幅な悪化から、将来の金融緩和を先取りする展開となりました。しかし、下旬は26日のジャクソンホール会議で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が厳格な金融政策運営を表明したことなどから、金融緩和期待は一気に打ち砕かれ、株価は大幅な調整を余儀なくされました。
続く業績の下方修正
<年後半以降の修正はこれから>
■一方、企業業績は下方修正が続いています。S&P500種指数採用企業の22年4-6月期の増益率(当期利益)は前年同期比+8.5%、除くエネルギーセクターベースで同▲2.2%でした(8月26日。リフィニティブ集計)。また、7月末の段階で辛うじてプラスを維持していた7-9月期の増益率予想(除くエネルギーセクター)は今回同▲1.4%の減益に下方修正されました。7-9月期はヘルスケア、情報技術が減益予想に転換しました。
今後の展開:業績の下振れ終了を待ち、その後の回復に期待
■米国株式市場は、金利上昇に加え、景気後退懸念とさらなる業績の悪化を織り込むと予想され、値動きの激しい展開が続く見通しです。弊社では、米国では潜在成長率(1.6%程度)を下回る低成長が数四半期にわたって続くとみており、来年後半の回復を想定しています。大幅な景気後退ではないものの、当面業績の悪化は続くと思われます。ただ、景気後退・業績悪化を織り込む局面は、次の上昇モメンタムを生むための通過点と考えることもできます。現在は、業績の下振れ終了を待ち、その後の回復を期待する局面と言えそうです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FRBに叩かれた米国株式市場…今後の展開は?【専門家が解説】』を参照)。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社