放置すれば突然死を招くことも…「怖い不整脈」と「怖くない不整脈」の決定的違い【専門医が解説】

放置すれば突然死を招くことも…「怖い不整脈」と「怖くない不整脈」の決定的違い【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の死因第2位を占めるのは「心疾患」ですが、中でも特に死亡率が高いのが「心不全」で、その5年後死亡率は、死因第1位の「がん」よりも低いとされています。命の危険を見逃さないためには、どうすればよいのでしょうか? 本稿では、心疾患・心臓リハビリ”の専門医・大堀克己医師が、「怖い不整脈」と「怖くない不整脈」について解説します。

大半の不整脈は「放置してもよい安全な不整脈」だが…

健康診断を受けて、「不整脈の疑いあり」と指摘されたことのある人は、意外と多いのではないかと思います。不整脈とは文字どおり、脈拍が極端に速くなったり、遅くなったり、あるいは、リズムが乱れたりする病気の総称です。不整脈には病気に由来するものと、病気に由来しない生理的なものがあります。健康診断で不整脈と診断された人は、もしかしたら病院の環境に緊張して、脈が速くなったり不規則になっていたりしたのかもしれません。実際のところ、大半の不整脈が治療のいらない危険性の低いものです。

 

しかしなかには、命に関わる不整脈もあります。心臓病の警鐘として不整脈が起こっていたり、放置していると心不全や突然死を招いたりすることもあるのです。

脈が不規則になる「期外収縮」はあまり心配いらない

「放置してもよい安全な不整脈」と「すぐに治療を行わなければ危険な不整脈」を見分けるにはまず、不整脈が起こる仕組みを理解する必要があります。

 

心臓は、電気信号を受けることによって、収縮と拡張を繰り返しています。心臓は正常であれば1分間に60~100回収縮することで、全身に血液を送っています。

 

しかし、なんらかのきっかけにより、この電気信号に異常が発生して、収縮や拡張のリズムが乱れることがあります。これを、不整脈といいます。不整脈には3種類あり、「脈が速くなる頻脈性」「脈が遅くなる徐脈性」「脈が不規則になる期外収縮」に分類されます。

 

これらのうち、最も多く見られるのが「期外収縮」です。本来なら、洞結節と呼ばれる「発電所」で電気が発生し、それが心臓に伝えられて拡張や収縮が起こるのですが、期外収縮の場合は、洞結節以外の部位で電気が発生してしまい、通常よりも早い段階で心臓の収縮が起こります。

 

これは決して珍しい病気ではなく、30歳以上の日本人の多くが期外収縮を起こしているといわれます。高齢になればなるほど発症率は高くなり、飲酒、喫煙、ストレス、過労、睡眠不足などが原因で起こるとされています。胸がドキドキする、一瞬胸が詰まる、胸に空気が入ったような不快感がある、などの症状が見られますが、こうしたことはたいていの人に起こる症状なのであまり心配はいりません。

 

■ただし「心臓病に由来する期外収縮」なら治療が必要

しかしなかには、心臓の病気に由来して期外収縮が起こっているケースもあります。例えば心筋梗塞、心筋症、心不全、心臓弁膜症など心臓の病気が原因となって期外収縮を招いている場合は、それらの治療が必要です。

 

動悸や胸の詰まり、痛みなど、期外収縮の症状がある場合、その原因が飲酒やストレスなど日常生活にあるのか、それとも、心臓病に関係しているのか、自分ではなかなか見当がつきません。そうした症状が頻繁に訪れる場合や、症状が気になる場合は、念のため、診察してもらったほうがよいです。

次ページ脈が速くなる「頻脈性」は要注意!

※本記事は、大堀克己氏の著書『心不全と診断されたら最初に読む本』(幻冬舎MC)を抜粋・再編集したものです。

心不全と診断されたら最初に読む本

心不全と診断されたら最初に読む本

大堀 克己

幻冬舎メディアコンサルティング

心不全と診断されても諦めてはいけない! 一生「心臓機能」を維持するためのリハビリテーションと再発予防策とは? “心疾患・心臓リハビリ”の専門医が、押さえておきたい最新の治療とリハビリテーションを解説します。

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