中国政府が景気テコ入れを強化。先週の金融緩和に続き、インフラプロジェクトへ3,000億元追加投資の方針  (画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 19,968.38 pt (+3.63%)
中国本土株指数6,848.89 pt (+4.31%)
レッドチップ指数 3,708.91 pt (+3.00%)
売買代金906億3百万HK$(前日991億3万HK$)

中国はインフラ投資などの追加政策で安定化に舵取り

中国当局がここにきて再び、景気テコ入れの強化を示した。中国の国務院が開催した24日常務会議で、経済安定措置を19項目追加し、経済安定化のための策を強化する方針などを承認した。

 

また、金融機関を通じてインフラ建設に出資する「政策・開発性金融ツール」の限度枠を増やし、インフラ債である専項債の促進を促し、インフラ施設向け投資の増強を通じ、年後半の経済落ち込みを避ける狙いがあるとみられる。

 

6月末まで既に投じた政策・開発性金融ツールについては3,000億元に加え、さらにインフラプロジェクトに投資できる金額を3,000億元以上増やす方針。

 

また、地方政府は専項債の発行限度枠を5,000億元あまり残しており、10月末までに積極的に活用するよう指示した。今回の結果を受けて専項債の残高は3兆6,500億人民元から4兆1,500億人民元まで増加する見通し。

 

ただ、今回の拡大はあくまで合理的な範囲を維持し、今年の発行枠は超えるものの、残高上限を下回る範囲で承認し、将来の支出を前倒ししない格好となった。

 

中国当局は先週からの積極的な金融緩和に続いて、インフラ投資を含む財政政策を通じて経済を下支えする動きとなった。会見でも、雇用拡大に向けて財政・金融政策を促進する必要性に言及し、足元の経済をどこまで引っ張れるかがひとつの焦点となる。

 

筆者は今年に入って中国当局の経済支援に対するコミットメントについて指摘し続けてきた。今回の決定がさらなる経済下支えの鍵となるか注目だろう。

 

主要銘柄、インターネット株の買い戻しで大幅高

25日の香港市場は熱帯低気圧「マーゴン」による「シグナル8」(警報レベル)の発令で前場の取引が停止、シグナル解除に伴い後場から取引が再開された。

 

取引開始後、香港ハンセン指数は一本調子で上げ幅を拡大し、前日比3.63%高と大幅高で引けた。前日まで3日続落し、終値ベースで3月15日の年初安値以来の水準だっただけに、買い戻しが先行した。

 

香港市場の売買代金も顕著に増加した。25日の取引金額ベースは906億香港ドルと半日の取引時間で通常の売買代金の金額に達した。

 

インターネット株中心に買い戻され、ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比6.0%高と全面高の様相となった。Eコマースの京東集団(9618)は11.0%高、動画配信のビリビリ(9626)は10.2%高、高性能データセンター開発の万国数拠HD(9698)は9.7%高、インターネット検索の百度(9888)は9.1%高、アリババは(9988)は8.7%高となった。

 

また、主要銘柄も全面高となりデリバリーサービスの美団(3690)は8.0%高、保険大手の中国平安保険(2318)は5.3%高、インターネットサービスのテンセント(0700)、中国海洋石油(0883)はそれぞれ4.8%高、保険のAIA(1299)は4.7%高となった。

 

一方、中国本土指数は上海総合指数が前日比0.97%高の3,246.25、CSI300指数は0.83%高の4,116.24で引け、3日ぶりの反発となった。政策支援への期待が相場を下支えし、前日の3週ぶりの安値から買い戻し優勢の展開となった。

免税店の中国旅游が香港上場で上海と重複上場に

中国の免税店運営会社、中国旅遊(1880)は25日、香港市場に上場。約21億米ドル(162億香港ドル)を調達したことで今年の香港上場で最大規模となった。同社は上海証券取引所の重複上場となり、1億280万株を1株あたり158香港ドルで発行した。

 

初値は120香港ドルと公開価格から24.1%安で取引が開始された後、前日比変わらずで引けた。仮条件は143.50-165.50香港ドルであり、中間値で決定された公開価格に対して、取引内容は弱い結果に終わった。

 

同社が中国国内観光に力を入れている海南島(海南省)三亜市では新型コロナの感染者が急増し、業績の不透明さも懸念された。

 

一方、中国企業のIPO意向は根強いものがあり、香港取引所は今後、積極的な新規企業の上場を促す方針を今月17日の決算発表で示した。年後半のIPO市場の活性化には期待したい。
 

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

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    Wells Global Asset Management Limited, CEO 国際金融ストラテジスト <在香港>

    シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。

    2004年末に東京三菱銀行(現MUFG銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009年からは国際部門に異動しアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。

    その後、MUFG銀行を離れ、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence (限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。

    2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得し、最高経営責任者として、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。

    世界水準の投資機会や投資戦略、資産防衛に精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。(個人ブログ:HASEKENHK.com

    京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)、名古屋市生まれ

    著者紹介

    連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」

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