資産運用において、積立投資はリスクを抑えられますが、どんな人でもやるべき、というわけではありません。では、どんな人が積立投資をやるべきで、どんな人はやるべきでないのか? 株式会社sustenキャピタル・マネジメントCEOの岡野大氏と、同社CIOの山口雅史氏が退職金1000万円を例にわかりやすく解説します。

現役世代は積立投資をやるべき

給料など定期収入のある現役世代で、長期間の運用で着実に資産を増やしていきたいと考えている人なら積立投資はぜひ行うべきです。ただし、その理由は取得単価の高値つかみを避けることではありません。

 

最も重要な理由は、積立という「便利ツール」を利用することで毎月の家計に占めるリスクの割合を一定に保つことができるからです。

 

人によって、リスク許容度つまり取れるリスクの割合は決まっています。さらにその人のリスク許容度と投資対象の期待リターン・リスクが分かれば、投資に回すべき最適な資金の割合も定まります。

 

例えばAさんが取れるリスクが「保有している現金に対して60%」であれば、毎月の収支がプラスで徐々に現金が増えていく場合は、それに合わせて投資する金額も徐々に増やしていく必要があります。

 

そうでないと現金比率が徐々に増えていき、最適な投資割合から乖離してしまうからです。

 

積立投資をしていれば収支のプラスの金額のうち、自動的に一定額が投資されて、Aさんにとっての最適なリスク水準を維持することが可能になります。

積立投資が合っている人、合っていない人

手元にまとまった現金があっても、リスクを避けるためには少しずつ積立で投資をしたほうがよいと考える人が大半かもしれません。実際、プロでもそうしたアドバイスをしているケースもあります。

 

しかしまとまった現金があってそれを投資に回そうと考えているとき、常に積立が良い選択とは限りません。

 

特に、定年退職後で給与などの定期収入がない人(年金は除く)にとっては、積立投資は「不正解」といえます。

 

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次ページ具体的な数字でみる積立投資と一括投資のちがい

※本連載は、岡野大氏、山口雅史氏の著書『最新の金融工学でかなえる 理想の資産運用』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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