(写真はイメージです/PIXTA)

相続した不動産を売却する際には税金がかかりますが、条件を満たし適用されると安く税金を抑えられる「特例」があると、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。ではその条件とはどのようなものなのか、不動産売却時にかかる税金の算出方法をもとにみていきましょう。

適用されると節税できる「取得費加算の特例」

特例が適用される条件

相続または遺贈によって取得した財産を、相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合は、取得費に一定の相続税額を加算することができるという特例です。

 

取得費が加算されるため、譲渡所得税が軽減されることになります。特例の適用を受けるための要件は、以下の3つです。

 

1.相続や遺贈により財産を取得した者であること。
2.その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
3.その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

 

取得費に加算する相続税額の計算式は、以下のとおりです。

 

[図表1]取得費に加算する相続税額の計算式  参照:国税庁HP「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
[図表1]取得費に加算する相続税額の計算式
参照:国税庁HP「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

 

なお、こちらの計算は、譲渡した財産ごとに行います。
 

計算例:Aさんが、相続不動産「甲」を相続し、相続発生から3年以内に売却した場合

Aさんの相続税額:3000万円

Aさんが相続した財産の課税価格+Aさんの債務控除額:3億円
「甲」の相続税評価額:1億円

(取得費に加算する相続税額)
3000万円×1億円/3億円=1000万円

 

このケースの場合、1000万円を取得費に加算することが可能です。実際の金額については、税理士に確認してもらうようにしましょう。

 

特例適用のために忘れてはいけない…確定申告で書類を添付

相続税の取得費加算の適用を受けるためには、確定申告のときに、以下の書類を添付する必要があります。

 

・相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
・[土地・建物用]や株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

 

詳しくは、税理士に相談をし、添付書類や取得費に加算される金額を確認するようにしましょう。

 

まとめ

以上のとおり、相続税の取得費加算の特例を受けるためには、いくつかの要件を満たさなければなりませんので、事前に税理士に相談しておくことをおすすめします。

 

また、相続発生後の遺産分割協議の段階で売却を検討している場合には、協議事項等に関し、弁護士に相談しておくといいでしょう。

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所
 

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