3.寝酒は止める
お酒は喉の筋肉をゆるめ、気道の閉塞を起こしやすくするため、寝酒は止めましょう。
4.寝室の湿度を保つ
いびきをかくと口呼吸になります。喉が乾燥したり、ホコリが侵入したりして炎症の原因となります。炎症により気道が狭くなるので、さらにいびきをかきやすくなり悪循環が起こります。
5.枕を見直す
理想的な枕の高さは、枕を使った時に目線が真上よりも少し斜め下(足側)を向く程度と言われています。枕の低過ぎ高過ぎは上気道が狭くなったり、喉の脂肪によって上気道が圧迫されやすくなったりします。首が浮かないように、枕の下の縁が肩に当たるように配置するなど、正しい使い方も意識しましょう。
6.いびきを録音してみる
自分がいびきをかいているかどうかは、身近な人に聞くのが一番手っ取り早いのですが、お一人の方や恥ずかしくて聞けない場合には、いびきの状態をチェックできるスマートフォンのアプリを利用してみましょう。無料のアプリは精度が落ちますが、とりあえず自分のいびきの状態は把握できます。
まずは耳鼻咽喉科で内服をスタートしつつ、上記の6点にトライして、それでも治らない場合はレーザーまたはアプノモニター簡易検査を行うというのが、時間的にも経済的にもコスパの良い治療の優先順位かと考えます。
閉経にも関係が
ちなみに女性の場合は、いびきは閉経とも関係しています。
今まで自分のいびきを気にしたことがなかったのに、50歳前後になって初めて家族から「いびきがうるさい」と言われたという人がいます。これは、女性ホルモンの分泌量に関係しています。女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)は、上気道の開きを維持しようとする筋肉の働きを促し、いびきを防ぐ効果を担っています。しかし、更年期に差し掛かると急激にホルモン量が減少するため、いびきが出るのです。この場合は耳鼻咽喉科と共に、産婦人科に相談することも必要かもしれません。
たかがいびき、されどいびき。人生の7割を睡眠に費やすと言われていますが、その7割の質を高めることは、起きている3割の充実にもつながります。
私個人としてはパートナーがいびきをかくと、「こんなに疲れるほど頑張っているんだな」とか「今一人で生きているわけではないんだな」とか、音を聞きながらほっこりするのですが、大事なパートナーが長生きして充実した人生を歩めるように、傷つかない言葉とトーンで「いびきかいてるよ、大丈夫?」と声をかけるようにしています。恥ずかしい気持ちにさせない、さりげない周囲の心遣いも、相手の人生を輝かせる秘訣になるのかもしれないですね。
木村 至信
馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック 院長