(※写真はイメージです/PIXTA)

睡眠時無呼吸症候群の驚きの死亡率上昇データ、閉経との関係…。専門医である馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック院長・木村至信医師が、意外と知らないいびきに関する知識・改善策や治療法・治療費について解説します。

SAS(睡眠時無呼吸症候群)は病気である

SASとは、睡眠中に呼吸が停止する状態(無呼吸)や止まりかける状態(低呼吸)が何度も繰り返される病気です。呼吸が止まるたびに脳が短時間覚醒するため、眠りが浅くなってしまいます。

 

そのため、起床時の頭痛、日中の強い眠気や疲労感、集中力・記憶力の低下などの症状が現れますし、不眠、夜間頻尿、寝相が悪いなどの睡眠障害もおきます。SASの原因は、肥満による首回りの脂肪が多すぎて気道が狭くなる、扁桃腺肥大、アデノイド、気道へ舌が落ち込む、舌が大きい、鼻が曲がっているなどが挙げられます。

 

欧米人は肥満者が多いためこの疾患を持つ人の割合が高いですが、痩せている日本人にも多く、その理由はもともと「顎が小さい」という骨格の影響があるといわれています。

 

このように、多くのリスクを孕んだいびきを放置するのは、健康寿命のためにも、経済活動のためにも得策とは思えません。では、どのような治療をしたらよいのでしょうか。

いびき治療の大前提。両鼻約1万5千円で3年効果が持続

いびきを軽くするには、鼻呼吸が必要です。鼻呼吸を円滑に行うための「鼻づまり解消」がいびき治療の大前提です。血管収縮剤の入った点鼻薬が薬局でも買えますが、長期間使用していると、副作用で逆に鼻の粘膜が腫れて鼻がつまってしまうことがあり、医師は推奨していません。

 

鼻の詰まりを取るアレルギー性鼻炎の内服薬を寝る前に飲むのは効果的です。ジェネリックにすれば、一日分120円前後で購入できます。ただ、「最大投与日数」があるので、月に一回クリニックを受診しなくてはいけないのがデメリットです。炭酸ガスレーザーによる鼻の詰まりを取る日帰り手術であれば、保険適応で両鼻で1万5千円前後。3回くらいの通院で終了し、3年は効果が持続します。

 

鼻づまりがない場合や、鼻づまりを解消してもいびきが改善しない場合は、睡眠時呼吸の検査をしましょう。簡易検査であれば、外来でアプノモニターという機械を貸し出してもらえばデータは取れますし、そこでもし重度と分かれば入院検査が必要になります。

 

SASの治療法としては、中等以上の方は鼻に強制的に空気を送り込むCPAP(持続陽圧換気)療法が有効ですが、慣れるまでなかなか寝付けない方も多いです。そのため、まずは耳鼻咽喉科でご自身の鼻の中がどうなっているのか、いびき治療の最初のステップを踏んでみていただけたらと思います。

マッサージ、湿度、寝る向き等。日常でできること

さらに日常生活では、以下のことを気にしてみてください。

1.肥満の人は減量する

太ってはいないけれど首回りの太い方は、顎から首にかけてリンパを流すマッサージを毎日行ってみてください。ついでに小顔効果もあります。

2.横向きに寝る

仰向けに寝ると重力の影響で気道がふさがりやすくなってしまうので、体を横向きにしたまま寝るとよいでしょう。抱き枕を使うことも効果的です。

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