めまいを放置していませんか?
今の季節は気温差があり、雨が多く、さらにストレスだらけの毎日。突然めまいを感じたりしませんか? しかし、めまいを理由に休みたいとは言いにくいですよね。血が出ているわけでもないし、軽症の場合には嘔吐もなく、意識もあります。「頑張ればなんとかなる」で済ませてしまう仕事場の状況もあったり。
ですが、めまいを放置していると仕事のパフォーマンスが落ちるのはもちろん、判断力などが鈍ってしまい、重大な損失を生みかねません。
また、めまいを抱える方のうち1割ほどは、次にいつめまいが起きるか分からず、不安を抱えながら仕事をしているうちに抑うつ状態に陥ってしまう方もいらっしゃり、結局長期でお仕事を休まざるを得ない状況となってしまいます。
私の知り合いの社長さんは、めまいのせいで運転ができなくなり、やがて他者との打ち合わせ中にめまいが起きることを怖がり、出社しなくなってしまいました。社長がそうなると、会社はどうなるか……。
たかがめまい、されどめまい。放置せずに対策を講じていく必要があります。
「めまい」の症状とその原因は?
何か症状がある場合、まずは原因を探る必要があります。一般に「めまい」と言われるものには、さまざまな症状があります。天井や自分の周囲がぐるぐる回る、体がぐらぐら、ふわふわする、気が遠くなりそうな感じがする、目の前が真っ暗になる、物が二重に見える、などです。
どの科に行けばいいいかわからないと、よく患者さんもおっしゃっています。
めまいの原因の一つは、内耳にある身体の平衡感覚を司る三半規管の異常で、それにはさまざまな種類があります。中高年の人に多い、起床時や寝返りを打ったときによく起きるのが良性発作性頭位めまい症で、耳石器から剥がれた耳石が三半規管内を浮遊していることが原因です。
めまいの原因をメニエール病と診断されたことがある人も多いのではないでしょうか。30~50代に多いメニエール病は、内耳を満たしているリンパ液が過剰にたまる「内リンパ水腫」が原因とされています。
突発性難聴、前庭神経炎もめまいを引き起こしますが、メニエール病と突発性難聴は、耳鳴り、難聴といった症状もある病気です。またメニエール病は、繰り返し発作がおきる要注意なめまいです。また一方で、これまでかかりつけの他科(耳鼻咽喉科以外)でめまいについて相談すると、検査をせずにみんなメニエール病と診断され、めまい薬が出されていました。
耳鼻咽喉科が少なかったので仕方ないのですが、今も他科でメニエール病と診断されて、意味のない治療法や必要のない薬をずっと飲まされ、いつまでたっても全く改善されない、ということが多々あります。今は耳鼻咽喉科の一般的なクリニックで、重心同様検査という簡易な検査で診断ができるようになりました。昔メニエールと言われた方は、ぜひきちんと耳鼻科で検査し直してください。無駄なお薬は飲まない方が良いのです。
一方、循環器系の病気によってもめまいが起こります。低血圧によるものは「立ちくらみ」が大きな特徴です。高血圧の薬の量が多過ぎるときや、精神科の薬や睡眠薬などの副作用であることも考えられます。思春期に、血圧調整ができないことで起こる起立性調節障害という病気もあります。また、脳梗塞、脳出血の一症状としてめまいが起きることもあります。この場合、時間の問題で重篤な結果につながる可能性があり、早急な対処が必要です。
気象病と言われる、天気や気温の変化によって自律神経のバランスが崩れることで起きるめまいもあります。自律神経失調です。
以上のように、めまいにはさまざまな原因が考えられます。どこの科に受診すればよいか悩んだときには、以下を参考にしてください。
- 症状良性発作性頭位めまい症、メニエール病、突発性難聴などの可能性がある、天井や自分の周囲がぐるぐる回るといった回転系のめまい症状
→耳鼻咽喉科にご相談ください。
- ふわふわした感じ、気が遠くなりそうな感じ、目の前が真っ暗になるといった症状
→循環器内科へご相談ください。
- めまいに付随して、片側の手足が動かなかい、ろれつが回らない、激しい頭痛
→小脳梗塞、脳卒中などが疑われるので、脳神経外科に直ちに行ってください。
- 気象病
→耳鼻咽喉科、内科、また心療内科に相談するのも良いかもしれません。
耳鼻科では、主に体のバランスを調べる重心動揺検査と、眼球の動きによって内耳の平衡器官の異常を調べる検査(眼振検査)聴力検査などが行われます。脳外科、循環器内科では、MRIやCT、採血検査が必要となります。