国内BtoB企業におけるWEBマーケティングの重要性
日本のBtoB企業のWEBマーケティングは諸外国や国内のBtoC企業と比べて、大きな後れを取っているといわれています。私が実際にコンサルティングを実施した数多くのクライアント企業のWEBサイトを見ても、そのことを強く実感します。
一方コロナ禍や大企業のDX推進などに伴うリモートワークの進展で、これまでBtoB企業が得意としてきた対面営業が難しくなり、WEBによるマーケティングやセールスの重要性がさらに高まってきました。
そのため、これまでWEBにあまり注力していなかったBtoB企業であっても、本格的にWEBマーケティングに取り組まざるを得なくなっています。
日本のBtoBではマーケティングがほぼ行われていない!?
2021年4月上旬、JR東京駅から程近い日本有数のオフィス街、丸の内・大手町エリアの一角にある私の会社のセミナールームで、私は社員であるコンサルタントの西田明日美に直々にレクチャーを行っていた。
いままでは先輩コンサルタントに同行させて仕事を覚えさせていたのだが、入社2年目を迎えるにあたって独り立ちさせるべく、今回の機会を設けた。
「新型コロナウイルス感染症が世界的に流行したことにより、従来のBtoB企業のマーケティング手法を続けることは難しくなったよね。どういうことかわかるかい?」
「はい。感染のリスクがあるため、展示会やセミナーでの名刺収集やアポ取り、あるいは対面営業などができなくなったということですよね。対面営業がマーケティングに含まれていることが問題点であると考えています」という西田の答えに、私は安堵して頷いた。
「そのとおり。日本のBtoB企業、特に中小の製造業では、マーケティング活動はほぼ営業部門が行ってきた。それ自体が悪いわけではない。だがこれは欧米流にいえば、専門のマーケティング部門による本格的なマーケティングがほとんど行われてこなかったということに等しいんだ」
私は日本企業で営業部門がマーケティングを行ってきたことを否定しているわけではない。マーケティング機能が、日本のBtoB企業ではあまり発達してこなかったことを問題視しているのである。
「まったくマーケティングを行っていないわけではないと思われます。STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)といった、ほぼ経営戦略に等しいような基本的なマーケティングは経営企画部門を中心に行われているでしょう。また4P(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)についても開発部門と営業部門が相談しながら計画を作っているはずです」
西田は入社してから、多くの企業のコンサルタントを担当してきた。専門的な用語も自然と身についているようだ。私は窓の外に広がるオフィス街を見下ろし、溜め息をついた。
「もちろんそうだ。そこまでは多くの企業が実践できている。ただWEBを活用した戦術に落とし込めているBtoB企業はほとんどないのが現実なんだ。だからコロナ禍で困ってしまっているんだよ」
コロナ禍で、展示会や対面営業という従来のマーケティング手法がほぼ使えなくなった状況では、テレマーケティングやオンラインセールス、WEBセミナー(ウェビナー)といった直接会わないマーケティングに取り組む必要がある。
しかしいままで対面でのマーケティングでほとんどの売上を上げてきたため、なかなかオンラインに移行できなくて困っている企業が多いのが現実なのである。
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