2019年に話題となった「老後2000万円問題」を皮切りに、貯蓄から投資へ目を向ける人が増えているようです。しかし、広く投資といえども、なかには「ほとんどギャンブル」といえるような投資対象・仕組みが存在すると、株式会社sustenキャピタル・マネジメントCEOの岡野大氏と、同社CIOの山口雅史氏はいいます。それらはどのような投資で、株式や不動産への投資とはなにが違うのか、みていきましょう。

資産運用には「貯める」と「増やす」の2種類がある

資産運用の方法としては、大きく2種類に分かれます。

 

1つが「貯める」で具体的には預貯金などの貯蓄を指します。

 

もう1つは「増やす」で株式や債券、投資信託といった金融商品への投資です。

 

前者は(見た目の)元本が保証され、後者は収益が得られる可能性がある一方で元本を割り込むこともあるため、両者をまったく違うものとしてとらえがちです。

 

これらはどちらも「大切な資産の価値を守りながら、着実に育てていく」という意味では貯めるのも増やすのも変わりはありません。もし保有している資産の価値が守られず、資産自体を減らすことに抵抗がないのであれば資産運用は必要ありません。

 

しかし、ほぼすべての人がそうは考えていないはずです。保有している資産の価値は守りたいし、なるべくなら増やしたいと思っています。そうであれば、さまざまな資産運用のやり方のなかからできるだけ価値を守ることができて、着実に育てていける方法を慎重に検討する必要があります。

投資とギャンブルは明確に違う

2種類ある資産運用の方法のうち、資産を積極的に「増やす」目的で行うのが「投資」です。そして、投資に関するよくある誤解の一つが、「投資はギャンブルである」という認識です。投資はギャンブルだからやらないと考えたり、すでに投資の経験があっても投資はギャンブルなので増えるか減るかは運次第、などと思い込んだりする例は少なくありません。

 

しかし、この認識は正しくないと私たちは考えます。なぜなら、投資とギャンブルは明確に異なるからです。

 

ギャンブルと投資を分ける基準は非常にシンプルで、期待リターンがあるかどうかだけです。期待リターンとは投資家が、ある資産について将来にわたる運用から獲得することが期待できる平均的なリターン(収益率)のことです。期待リターンがある状態というのは、参加者の収益の期待値がプラスであることを指します。

 

期待リターンがない状態というのは、参加者の収益の期待値がゼロ以下であることであり、別の言い方をすればゼロサムゲーム、マイナスサムゲームといわれることもあります。ゼロサムゲームとは、参加者全員の得点と失点の合計がゼロになるゲームのことです。

 

例えば2人がそれぞれ1万円の参加費を出して、勝者が2万円を総取りできるようなゲームをするとします。勝者は参加費との差し引きでプラス1万円ですが、敗者は参加費の1万円を失いマイナス1万円となるので合計は0円です。

 

このように、誰かが勝てば必ず誰かが負けるゼロサムゲーム型の投資は、ギャンブルといえます。

 

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※本連載は、岡野大氏、山口雅史氏の著書『最新の金融工学でかなえる 理想の資産運用』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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