(※写真はイメージです/PIXTA)

商品やサービスを一般消費者に向けて提供する「B to C(Business to Consumer)」企業と異なり、法人に向けて事業を行う「B to B(Business to Business)」企業は、マスコミへの営業が有利ではありません。日本経済新聞の記者から「B to B」企業広報に転身した日高広太郎氏の著書『BtoB広報 最強の攻略術』(すばる舎)で効果的な戦略を解説します。

テレビ向けの企画書づくりの心得 わかりやすさ

重視テレビ局の記者やプロデューサーは忙しい毎日を送っていますので、広報担当者から自社を売り込む場合、口頭だけで説明しても相手にしてもらえないこともあるでしょう。また、テレビで番組づくりをする際には、放送した際のリスクや面白さなどをチェックするために、多くの人に書面などで説明する必要があります。番組制作にはお金がかかりますし、労働コストもばかになりません。それに見合う、あるいはそれ以上の高い効果が求められるわけです。それを局内に説明して説得するのに役立つのが企画書です。

 

私は元新聞記者で、テレビ局員ではありませんので、テレビの企画書づくりのプロではありません。ただ、メディアにとってどんなネタが大事かは新聞もテレビも同じです。広報担当者としても、テレビ局の方々と一緒に何度も企画づくりをし、放送していただいてきましたので、その経験をもとに企画づくりについて簡単に私の考えを説明させていただきます。

 

企画書で必要な心得はいくつかあります。これはBtoBでも、BtoCでも、中小企業でも共通しています。最初の心得は「わかりやすさ」と「具体性」です。テレビ局の関係者に予備知識がなくても「わかりやすくて面白い」と思って読むことができるのが前提条件となります。もちろん、抽象的な情報では面白いとは思ってもらえませんから、具体的なネタや情報も必要です。

 

制作者すら理解できない、あるいは面白いと思えない企画書をもとに作った番組は視聴者に支持されませんし、そもそも企画が局内を通りませんので、制作されることはありません。視聴者は最初に「つまらない」と思えば、すぐにチャンネルを変えてしまいますので、やはり「つかみ」は大事になります。逆に言えば、最初に「わかりやすくて面白い」と思わせてしまえば、半分成功したようなものとも言えるでしょう。

 

この「わかりやすさ」に関連しますが、企画書の文章を長々と書くのはおすすめしません。あくまで簡潔かつ明快に、が鉄則です。

 

もう一つの心得は「背景説明」や「意義づけ」「トレンド」です。提供するネタが社会にどのような貢献をするのか、社会問題をどう解決するのか、といったことです。例えば環境問題や高齢化社会の進行、新型コロナウイルスの感染拡大などといった足元の社会問題の解決にどんな意味があるのか、関連があるようであれば、それに引きつけるような工夫が必要だと思います。また、「世界初」、「リーマンショック以来」、「ノーベル賞級」といった意義づけや権威づけも、新聞と同様、重宝されます。

 

最後に重要な心得は「臨場感」「リアリティのある映像」です。これが新聞や雑誌との大きな違い188です。新聞記者はまずネタを考えますが、テレビでは映像も同時に考えなくてはいけません。つまり、密着取材ができる具体的な例が必要なのです。過去の事例を取材してもなかなかメインのストーリーにはなりづらいのが実情です。

 

臨場感のある映像を撮影できるかどうかが、採用されるかどうかの条件の一つになりやすいと言えるでしょう。広報担当者は、こうしたことを意識しながら、ネタづくりをしていくことが必要です。

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BtoB広報 最強の攻略術

BtoB広報 最強の攻略術

日高 広太郎

すばる舎

日本経済新聞社のエース記者として活躍し、東証一部上場の「BtoB企業」の広報担当役員に転身、年間のメディア掲載数を就任前の80倍以上に増やした広報のプロフェッショナルである著者。現在は独立し、広報コンサルティング会社…

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