(※写真はイメージです/PIXTA)

「まだ大丈夫と思いたい。でも、知っておけば準備できる。」高齢者認知症外来・訪問診療を長年行ってきた専門医・近藤靖子氏は、書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』のなかで「認知症になるリスクを下げる方法」について解説しています。

おすすめは「日本食プラス乳製品」?日本の調査では…

一方、日本でどの病気がどんな生活習慣や持病と関連があるかなどという、疾患の疫学調査を行う場合に良く参照されるのが「久山町研究」です。これは九州大学が主となって、何十年にもわたって行っているものです。

 

久山町は、福岡県福岡市に隣接した町ですが、その町の全住民を対象に健診や往診、そして亡くなった際には病理解剖を行って死因を明らかにし、膨大なデータを集積して解析や研究が行われています。

 

追跡調査の精度も99%以上と高く、数十年にわたり病気の進行程度などを追跡できるので、前向き調査が可能となります。

 

例えば、糖尿病と認知症の関連を調べる場合に、糖尿病のある人が高齢になるとどれくらい認知症を発症するのかということを、実際に同じ集団で追跡することができます。

 

そのほかの地方では、住民もドクターも短期間で移動することが多く、何十年にもわたる追跡研究は非常に困難なので、久山町研究はとても貴重で信頼性の高い研究であると評価されています。

 

さて、久山町の認知症の疫学調査では、1985年から30年ほどにわたって調査が行われました。結論としては、高血圧の治療と糖尿病の予防と治療、運動、バランスの良い日本食が認知症のリスクを減らすのに有効である、ということでした(※注2)。

 

WHOのガイドラインと比べてみると、ほぼ同じ内容となっていますが、詳しく見るとおすすめの食事の品目が少し違います。WHOでは「地中海料理をすすめるが、牛乳・乳製品摂取は抑えること」というアドバイスですが、久山町研究のおすすめは「日本食プラス乳製品」となっています。

 

これは、調査の対象となった人々の食習慣の違いによるものと思われます。

 

地中海料理の代表的な食材としては、オリーブオイルやトマトなどの野菜、穀類、豆、ナッツ、果物、魚、鶏肉を中心とした食事に少量のワインなどがあります。

 

地中海風の食事を主とする人々は乳製品の消費も多いのですが、乳製品は抑えたほうが認知症のリスクを減らすのに効果的であろうということです。

 

一方、一般的な日本食ではまだ乳製品の摂取が少なく、追加するほうが良いという結果になりました。地中海料理または日本食などのバランスの良い食事と少量のワインまたはお酒で、ほろ酔い気分を楽しみ、認知症も予防したいものです。

 

 

※注1 Risk Reduction of Cognitive Decline and Dementia. WHO Guidelines,201

 

※注2 地域高齢住民における認知症の疫学:久山町研究 小原知之ら 九州神経精神医学 60(2):83-91,2014

 

 

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近藤 靖子

和歌山県和歌山市に生まれる。京都大学医学部および同大学院卒。 医療に関しては麻酔科、眼科、内科、神経内科、老年内科の診療に従事。1994年家族と共に渡米し、オハイオ州クリーブランドのクリーブランドクリニックにて医学研究を行う。 その後、ニューヨーク州ニューヨーク市のマウントサイナイ医科大学、テキサス州ヒューストンのMDアンダーソンがんセンターにて医学研究に従事。 2006年末に帰国し、2008年千葉県佐倉市にさくらホームクリニックを夫と共に開院し、主に高齢者医療を行う。

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    本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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