9.11に匹敵するテロ続出!ランサムウェア攻撃の恐ろしい実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

ランサムウェアの脅威は「9.11」に匹敵すると言われています。多くの国で被害が出ていますが、ランサムウェア攻撃に対する効果的な対処法はあるのでしょうか。元・陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏が著書『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)で解説します。

国家間のサイバー戦は始まっている

■サイバー戦とは

 

サイバー戦の明確な定義はないが、本連載においては「サイバー戦とは、ある目的達成のために国家や非国家主体が実施するサイバー空間での戦い」と定義する。

 

サイバー空間は、インターネット(基盤としての光ファイバー、海底ケーブル、衛星等を含む)、インターネットに接続されているネットワーク、これらネットワークに接続されている電子機器(コンピュータ、サーバー、スマートフォンなど)が作り出す人工の空間だ。人体で譬えるなら、脳とその他の器官をつなぐ「脳神経系統」と言えるだろう。

 

このサイバー空間は、情報通信分野に目を見張る発展をもたらし、インターネットを利用した様々なビジネスを生み出した。それにより経済を発展させ、民間でも軍事においても不可欠な空間になっている。

 

一方で、悪意ある者がサイバー空間を悪用し、サイバー犯罪、サイバースパイ活動、重要インフラに対するサイバー攻撃が発生し、世界の安定を脅かす大きなリスクになっている。そしていまやサイバー空間は、陸・海・空・宇宙に次ぐ第五の戦場と呼ばれ、安全保障における重要な空間である。

 

このサイバー空間を利用して、国家や非国家主体(個人、グループ、テロ組織など)が合法・非合法の様々な活動をおこなっている。サイバー空間をめぐっては軍事に焦点をあてたサイバー戦争(Cyber War)やサイバー作戦(Cyber Operation)という用語があるが、本連載においては平時と有事において国家や非国家主体がおこなうサイバー戦(Cyber Warfare)に焦点をあてる。

 

とくに強調したいのは、サイバー戦争という用語を使う人がいるが、主として軍事紛争を意味する「戦争」という言葉を簡単に使うべきではないということだ。

 

国家間のサイバー戦はすでに始まっており、現在進行中である。

 

防衛省を例にとると、一日に膨大な数の不正アクセスを受けている。日本に対するサイバー戦でとくに注意しなければいけない国々は中国、北朝鮮、ロシアだ。これらの国々は日本にとって軍事的脅威でもあり、平時から日本の官庁・企業・個人に対して様々な目的でサイバー戦を仕掛けている。さらにサイバー戦の厄介なところは、日本の同盟国や友好国であっても警戒しなければいけない点だ。

 

■サイバー戦の三つの要素

 

サイバー戦を区分すると、サイバー情報活動(サイバー・インテリジェンスとかサイバースパイ活動ともいう)、攻撃的サイバー戦(サイバー攻撃)、防御的サイバー戦(サイバー防御)に分かれる。

 

サイバー情報活動には、ふたつの目的がある。第一の目的は、相手のシステムやネットワークに存在する情報を収集し、分析すること。即ち作戦遂行に直接必要な情報を収集・分析することである。

 

第二の目的は、相手のシステムそれ自体に関する技術的な情報を収集・分析することだ。

 

例えば、相手のシステムのOS2やソフトウェア等の種類、通信プロトコル・暗号化の方式などだ。これらの情報がわかれば、相手のシステムの弱点がわかり、次のサイバー攻撃の準備になる。

 

攻撃をおこなうためには相手のシステムに侵入しなければいけない。具体的なサイバー攻撃の要領としては、ソフトを利用した自動化された攻撃と、人間がおこなうハッキングがある。

 

まず、ソフトを利用した自動化された攻撃だが、これにはウイルスやワームなどの自律型マルウェアによるものがある。これらは相手のシステムに入ると自律的に行動し、感染を広げたり、目標となる特定のシステムやサーバーを探索し、システムダウンさせたり、データを書き換えたり、情報を窃取したりする。

 

前・富士通システム統合研究所安全保障研究所長
元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー
元陸上自衛隊東部方面総監

1978(昭和53)年、東京大学卒業後、陸上自衛隊入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、函館駐屯地司令、東京地方協力本部長、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011(平成23)年に東部方面総監。2013年退職。著書に『米中戦争―そのとき日本は』(講談社現代新書)、『中国人民解放軍の全貌』(扶桑社新書)、『日本の有事』(ワニブックス【PLUS】新書)、共著に『台湾有事と日本の安全保障』『現代戦争論―超「超限戦」』(ともにワニブックス【PLUS】新書)がある。

著者紹介

連載日本はあらゆる領域が戦場になる戦時下である

本連載は渡部悦和氏の著書『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)より一部を抜粋し、再編集したものです。

日本はすでに戦時下にある

日本はすでに戦時下にある

渡部 悦和

ワニブックス

中国、ロシア、北朝鮮といった民主主義陣営の国家と対立する独愛的な国家に囲まれる日本の安全保障をめぐる状況は、かつてないほどに厳しいものになっている。 そして、日本人が平和だと思っている今この時点でも、この国では…

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