(※画像はイメージです/PIXTA)

遺産の中に借地権付建物がある場合には、建物だけでなく借地権も相続の対象となります。一般的に借地権自体を登記することが少ないため、相続人がその契約内容を正確に把握できていない場合や、そもそも借地権が相続の対象となる財産であると思わなかった、ということも多くあるようです。ここでは税理士法人田尻会計の税理士・古沢暢子氏が、相続税の対象財産となる借地権とはどのようなものか、その権利関係や実際の利用状況を把握する手段、相続税評価額の算定などについて、実際の相談事例を踏まえながら考えていきます。

借地権の相続財産評価

相続税の対象となる借地権は、次のように評価額を算定します。

 

借地権の取引慣行がある地域の評価額

借地権の評価額は、その借地権の目的となっている宅地の自用地(更地)の評価額に借地権割合を乗じて求めます。

 

個人の感覚として土地を賃貸する際に権利金を収受することができない地域であっても、路線価図や評価倍率表に借地権割合が記載されている以上は、借地権の取引慣行がある地域と考えます。

 

借地権の評価額 = 自用地の評価額 × 借地権割合

 

自用地の評価額は路線価方式や倍率方式により算定し、借地権割合は路線価図・評価倍率表に記載されている割合を用います。

 

なお、相続税の計算においては、要件を満たすことで土地の評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」がありますが、土地と同様に借地権についてもこの特例を適用することができます。

 

借地権の取引慣行がない地域の評価

借地権の評価はしないこととされています。

 

終わりに…借地権を相続するときの注意点

借地権については、その権利関係や使用状況を正確に把握する機会がないまま相続が発生する事例が多くあります。

 

借地権を相続する場合には、相続人同士の関係に加えて、地主との関係についても配慮していかなくてはならず、遺産分割協議や借地権付建物の売却を検討する際には特に注意が必要になってきます。

 

他人の土地を借りて建物を所有している方は、あらかじめ借地権についての情報を確認し整理しておくと良いでしょう。

 

また、借地権を「相続」させる場合は地主の承諾は必要ありませんが、「遺贈」する場合には地主の承諾及び承諾料の支払いが発生するという違いもあります。

 

遺言を作成される方については、この点も念頭において遺言の内容を検討する必要がありそうです。

 

 

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