(写真はイメージです/PIXTA)

夫や妻が亡くなった場合、条件を満たしていれば相続税負担が免除される「相続税の配偶者控除」を利用できます。しかし、注意点を押さえておかないと後々納税額が高くなってしまうことも……今回は、そんな「相続税の配偶者控除」の条件や注意すべきポイントについて、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

税負担が免除に…相続税の「配偶者控除」とは

配偶者控除とは、相続税の申告時に活用できる特例の1つです。

 

通常であれば、相続税が基礎控除を超える相続財産がある場合は、相続人には相続税が課税されますが、相続人が「配偶者」の場合には、相続税の納税を免除(一部免除)するという特例になります。

 

具体的には、配偶者が相続した遺産のうち、課税対象となるものの額が1億6,000万円までであれば、配偶者に相続税は課税されない制度です。また、1億6,000万円を超えても、配偶者の法定相続分までであれば、相続税は課税されません。

 

結論として、配偶者は、相続する遺産が下記の場合は、相続税は課税されません。

 

・1億,6000万円以内

または

・法定相続分以内

 

ここでは、相続税の「配偶者控除」の要件や注意点等について、詳しく解説いたします。

内縁者はNG…「配偶者控除」になる3つの必須条件

配偶者控除の要件は、下記となります。

 

1.戸籍上の『配偶者』であること
2.相続税の申告期限までに遺産の分け方が決まっていること
3.相続税の申告書を提出していること

 

1.戸籍上の『配偶者』であること

役所の婚姻届を提出している「配偶者」であることが必要となります。そのため、「内縁者」は、配偶者控除の要件を充たしませんので、ご注意ください。

 

2.相続税の申告期限までに遺産の分け方が決まっていること

「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内」に相続税の申告は行わなければなりません。

 

申告期限までに、遺産の分け方が決まっていない場合は、未分割として相続税の申告を行いますが、未分割として申告を行う場合は、「相続税の配偶者控除」は活用できず、いったんは相続税を納税する必要が出てきます。

 

あとで遺産の分け方が決まれば、更正の請求を行い、相続税の還付を受けるようにしましょう。

 

3.相続税の申告書を提出していること

「相続税の配偶者控除」を活用すると相続税が0円となる場合においても、遺産が相続税の基礎控除額を超える場合には、相続税の申告は必要となります。

 

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