(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 20,661.06 pt (▲0.89%)
中国本土株指数 7,097.39 pt (▲1.00%)
レッドチップ指数 3,775.71 pt (▲0.76%)
売買代金839億8百万HK$(前日1,160億9万HK$)

追加景気対策への期待から、下値は底堅い動き

19日のアジア市場は一進一退の動きとなり、方向感の乏しい展開となった。米国市場は過度な金融引き締め観測が一服し、目先は今週から本格的に開示される米決算企業にシフトしている。また中国本土の新型コロナウイルス感染再拡大から、上値を追う材料は乏しい動きとなった。

 

ハンセン指数は前日比0.89%安と昨日の大幅反発から一服、積極的な買いにつながる新たな材料が見当たらないなかで、売買代金は839億香港ドルと5月4日以来、約2ヵ月ぶりの低水準となった。中国の実質的な政策金利である7月の最優遇貸出金利(ローンプライムレート)の発表を明日に控え、様子見ムードが漂った。

 

追加景気対策への期待の高まりから下値は底堅い動きとなった。18日、中国人民銀行は7日物リバースレポで70億元(10.3億ドル)の資金供給を行った。本日レポの満期を迎える30億元を差し引いてネットで40億元の供給となる。

 

前日にも120億元の資金供給を行っており、7月1日以来のまとまった資金供給となった。同行は先月から大規模な資金供給を実施しており、直近では6月28日に過去3ヵ月間で最高となる1,100億元の資金供給をリバースレポを通して行っていた。

 

19日の香港市場はハンセンテック指数が前日比1.48%安と市場をアンダーパフォームした。中国EVメーカーや自動車の一角などが下落し、電子機器の比亜迪電子(0285)は前日比8.9%安、自動車の小鵬汽車(9868)は5.6%安となった。

 

採用のペースを落とす計画だと伝えた米アップル関連銘柄も下落。光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382)は3.6%安、小型電子部品メーカーの瑞声科技(2018)は3.1%安、光学部品メーカーの高偉電子(1415)が下落した。

 

一方、決算を発表した中国バイオ医薬品開発の薬明生物技術(2269)が前日比1.5%高、22年6月中間決算は35%増益見通しと発表したことが好感された。

 

中国本土株も同様に方向感に乏しく、前日終値を挟んで一進一退となった。上海総合指数は前日比0.04%高の3,279.43と反落、CSI300は0.54%安の4,269.34で引けた。前日の上げから様子見の展開も、下値は底堅い動きとなった。

中国では再び新規感染者拡大

中国本土では、感染が再拡大し、厳格な感染対策発動への懸念が燻る。前日18日の新規感染者(無症状者含む)は699人と5月22日以来の高水準に達した。

 

感染力の強いオミクロンの変異型「BA.5」が猛威を振るっており、上海当局は今週実施する検査の対象を全住民の約80%に当たる2,000万人前後に拡大すると発表した。

 

上海の前日の新規感染者は24人(前日17人)、首都北京でも8日ぶりに新たに1人の新規感染が見つかった。引き続き行動制限をはじめ、2か月におよぶ都市規制が再び課されるのではという懸念が再燃した。

 

7月の中国の新規感染者数

 

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

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