※画像はイメージです/PIXTA

家族が亡くなって残された人が頭を悩ませることの一つに遺品整理があります。物を所有していた本人がすでに亡くなっているため、何が必要で何が必要でないかの判断が難しく、整理がなかなか進みません。「必要なものを誤って捨ててしまった」とか、「悪徳業者とトラブルになった」という声も聞かれます。故人が大量に物をため込んでいた場合や部屋を明け渡す必要がある場合は、遺品整理はより困難になります。故人の遺品整理や片付けを悔いなくスムーズに行うために、遺品整理を始めるタイミングや整理の手順を見ていきましょう。

遺品整理を始めるタイミング

遺品整理は、目の前の物一つ一つについて必要か必要でないかを判断するため、精神的・肉体的な負担が大きくなります。家族を亡くした悲しみが癒えないままでは、遺品整理どころではないでしょう。

 

冷静な判断ができないで誤って大切なものを捨ててしまったり、反対にほとんど物が捨てられず整理にならなかったりするかもしれません。

 

遺品整理を始めるタイミングは、遺族の気持ちが落ち着いてからでかまいません。しかし、財産の整理は早めに取りかかるようにしましょう。

 

財産の整理を急ぐのは、相続税の申告・納税の期限が死亡の10ヵ月後と定められているためです。10ヵ月もあれば余裕があるようにも思えますが、財産を調べて申告書を作成するまで数ヵ月かかることもあります。

 

遺産の総額が相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下で相続税がかからなければ、財産の整理は当面後回しにしても大丈夫です。しかし、そもそも財産がいくらあるかがわからなければその判断もできません。

 

財産の整理ができれば、次に故人の身の回りのものを整理します。

 

身の回りのものの整理に期限はないので、気持ちが落ち着くのを待ってからでもかまいません。ただし、故人が賃貸住宅に一人で住んでいて部屋を明け渡す場合は、できるだけ早く取りかかる必要があります。

故人のお金や財産にかかわるものを探す

遺品整理では、最初に故人の遺品からお金や財産にかかわるものを探し出します。

 

故人が遺言や財産目録を作っていれば、それをもとに通帳や書類を探します。遺言や財産目録がなければ、自宅をくまなく探す必要があります。お金や財産にかかわるものとしては、次のようなものを探すとよいでしょう。

 

■預金通帳・キャッシュカード

印鑑も必要です。自動で引き落としされているものがあれば解約します。

■クレジットカード

不正利用や会費の引き落としを防ぐためにすぐ利用を止めます。

■土地・家屋の権利証など不動産関係の書類

不動産は自宅だけとは限りません。別荘や賃貸アパートなど他に心当たりがないかも確認します。

■生命保険の保険証券

死亡保険金の受け取りに必要です。

■有価証券

有価証券そのものが見つかることはまれです。証券会社から送られた書類がないか確認します。

■貴金属・宝石・骨董品・美術品など

価値が高いものは相続税申告の対象になります。

■年金手帳・健康保険証

年金の支給を止めます。健康保険から埋葬料などがもらえる場合があります。

 

お金や財産にかかわるものを見つけたら、解約または相続の手続きをします。

次ページ故人の身の回りのものを整理する

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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