※画像はイメージです/PIXTA

家族が亡くなって残された人が頭を悩ませることの一つに遺品整理があります。物を所有していた本人がすでに亡くなっているため、何が必要で何が必要でないかの判断が難しく、整理がなかなか進みません。「必要なものを誤って捨ててしまった」とか、「悪徳業者とトラブルになった」という声も聞かれます。故人が大量に物をため込んでいた場合や部屋を明け渡す必要がある場合は、遺品整理はより困難になります。故人の遺品整理や片付けを悔いなくスムーズに行うために、遺品整理を始めるタイミングや整理の手順を見ていきましょう。

故人の身の回りのものを整理する

故人のお金や財産にかかわるものを探すことができれば、次に身の回りのものを整理します。はじめにお伝えしたように、故人が賃貸住宅に一人で住んでいて部屋を明け渡す必要がある場合は、できるだけ早く取りかかる必要があります。

 

思い出の品も迷ったら捨てる

故人の身の回りのものを整理するときに困るのが、何が必要で何が必要でないかの判断です。慌てて価値のあるものや思い出深いものまで捨ててしまえば、後悔することになります。時間が許せばゆっくり整理してもよいでしょう。

 

ただし、いろいろなものを大切にするあまり、物をほとんど捨てられなければ遺品整理にはなりません。思い出深いものでも「捨てるかどうか迷ったものは捨てる」という割り切りも必要でしょう。

 

いらなくなった遺品は捨てるだけでなく、引き取ってもらうこともできます。書籍や音楽ソフト、電化製品などはリサイクルショップへ、ブランド品や趣味の品など価値がありそうなものは専門店に持ちこむなどします。ネットオークションやフリマアプリなどを利用して個人どうしで売却することもできます。

 

遺品整理を始めるときは、親族にもひと言伝えておくことをおすすめします。一つのものでも、親族によって思い入れが違うこともあり、整理する人だけの考えで必要か不要かの判断をしてしまうとトラブルになる場合があります。

 

賃貸住宅は速やかに退去を

故人が賃貸住宅に一人で住んでいた場合は、できるだけ速やかに退去しなければなりません。心の整理ができなければ遺品整理に取りかかることも難しいですが、何ヵ月も続けて部屋を借りていては支払う家賃もばかになりません。どこかで割り切って遺品整理に取りかかることも必要になってきます。

 

亡くなったその月か翌月、あるいは四十九日法要が終わる頃には部屋を明け渡すように遺品整理を進めていくとよいでしょう。

 

持ち家なら慌てなくてもよい

故人が持ち家に住んでいた場合、あるいは賃貸住宅でも家族が残るのであれば、慌てて遺品整理をする必要はありません。気持ちが落ち着いてからゆっくりすればよいでしょう。

 

親族や生前親しかった人に遺品を贈る形見分けは、一般には四十九日法要のときにすると言われていますが、こだわらなくてもよいでしょう。遺産相続とは違い、形見分けは特に急ぐ必要はありません。

遺品整理業者に依頼することも選択肢に

遺品整理や片付けは遺族がするものと思っている人も多いかもしれませんが、遺品整理業者に依頼することも一つの方法です。業者に任せたからといって、故人に悪いとか不誠実ということにはなりません。プロに任せて大切な遺品を確実に受け継ぐことができれば、故人もきっと安心するでしょう。

 

特に次のような場合は、遺品整理業者に依頼することをおすすめします。

 

●賃貸住宅の明け渡しが迫っている場合

●故人の自宅が遠方にある場合

●故人の残した物が多くゴミ屋敷になっていた場合

●遺族が高齢で動きづらい場合

●死亡の発見が遅れて遺体が傷んだいわゆる孤独死の場合

 

なかでも、死亡の発見が遅れて遺体が傷んでしまった場合は特殊清掃が必要で、専門業者に依頼することが不可欠です。

 

遺品整理を手がける業者はさまざまな業態から参入していて、サービス内容も千差万別です。信頼できる遺品整理業者を選ぶ基準としては、「遺品整理士」が在籍しているかどうかが目安になるでしょう。

 

遺品整理士は、遺品の取り扱いや遺品整理に関する法規制を習得しているスペシャリストです。特に優れた業者は優良事業所に認定されています。業界をあげて健全化に努めているため、高額請求や不法投棄の心配も少ないでしょう。

遺品整理が終わったら

遺品整理が終わり財産の把握ができたら、続いて名義変更や解約が必要な財産(保有株式や銀行口座、不動産等)の手続きを行う必要があります。

 

家族を亡くした悲しみが癒えないまま、遺品整理から手続きまで全て自身で行うのは負担が大きいと考える方も多いことでしょう。そのような時は、遺品整理と同様にプロに手続きの代行を依頼することも可能です。

 

相続手続きに慣れている司法書士なら、必要書類の収集から解約・名義変更手続きまで全てお任せすることができます。

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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