「相続時、自社株を後継者に渡す」リスクは相当なもの
社長が亡くなるまでの間、社長が自社株を所有していることにリスクがあります。それは、社長の認知症のリスクです。人生100年時代といわれる今、認知症のリスクは強く意識する必要があるでしょう。
株主は議決権を持っています。会社の取締役の選任や解任、定款の内容変更など重要事項は、株主が議決権を行使して決定します。その議決権を行使する人が認知症になってしまったら、その株主は議決権を行使することができません。
筆者が社長に認知症のリスクを説明しても、
「うちは株主総会なんてやっていないし、今まで問題になったこともないから大丈夫。後継者が社長になって会社を取り仕切っていけば、私(社長)が認知症になっても問題ないでしょう」
と言って笑い飛ばす社長は結構多いのです。
本当に問題ないのでしょうか? 場合によっては後継者以外の取締役を解任する、または再任しないという選択をしなければならないときもあるでしょう。しかし、株主の社長が認知症で議決権行使できないと、その取締役の取扱いはどうなるのでしょうか?
会社の代表権を持ち、大株主である社長がすべてのことを決定している中小企業だからこそ、社長が元気のあいだは何も問題が生じません。しかし、後継者に社長を引き継いでも、株主である先代の社長が判断能力を著しく欠くような状況になってしまったら、会社経営には大きな問題です。それは、後継者がまだ、会社のことを決定できる大株主になっていないからです。
相続で自社株を後継者に渡すリスクは、社長が株式を所有する限りにおいて、完全に払しょくすることはできません。社長が死ぬまで大株主であることには、社長の認知症リスクという大きな課題があります。社長の相続で後継者に自社株を渡すことは、この課題を解決しなければならず、それは社長の遺言だけでは対応できないのです。
これらの課題解決には信託の利用が有効ですが、それについては別の機会に解説します。
「公平な相続でない理由」を、家族にしっかり伝えて
社長の遺言の内容は、社長自身が相続人に知らせない限り、相続人たちは知る由もありません。遺言内容の開示に積極的でない社長も多いと思いますが、社長がこの世からいなくなったあとに初めて知った「胸の内」が、特定の相続人に多くの資産を相続させる内容では、やはり相続人同士のトラブルになりかねません。
後継者には会社を継いでほしい。家族みんな末永く仲良くしてほしい。残された社長の配偶者は子どもたちでしっかり見守ってほしい…。このような思いは、社長が生前のうちから周囲にしっかりと伝えていくことが必要です。
遺言は、社長が亡くなったときから効力を生じます。そして、遺言はいつでもその内容の全部又は一部を修正・あるいは撤回することができます。
社長の自社株を生前に譲渡または贈与しないと考える社長は、まずは遺言を作成しましょう。しかし、社長の資産内容は変動し、その変動にあわせて遺言内容を変えていくことも必要です。遺言を作成したとき、あるいは書き換えたとき、すぐさま家族に内容を知らせる必要はありませんが、すべてを公平に相続することができない、社長の資産の相続では、「社長の家族への思い」を開示することが必要です。社長は時期を見て、資産承継の思いを家族に伝えておくことも大切だと、筆者は考えています。
石脇 俊司
一般社団法人民事信託活用支援機構 理事
株式会社継志舎 代表取締役
執筆者の特別セミナーを開催!
「家族信託」活用/「資産管理会社」活用etc.
>>>詳細はこちら
富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
>>ゴールドオンライン・エクスクルーシブ倶楽部<<
ゴールドオンライン・エクスクルーシブ倶楽部が
主催する「資産家」のためのセミナー・イベント
【9月29日(火)開催】
こんな時、相続した不動産はどうなる?
不動産の評価はどうなる、住宅ローンがある、
相続時の登記や税金は…弁護士が対応策を一挙解説
【9月29日(火)開催】
不動産オーナー必見!利回りより大切な「税引後の手残り」
税理士が解説する“不動産×金融資産”の最適バランスと投資税務
【9月30日(水)開催】
「スマホの中の遺産」家族は見つけられますか?
“エンディングノート”で残す、デジタル遺産・収益不動産・相続財産情報
【AI時代の「家族承継」実践編】
【10月1日(木)開催】
オルカン、S&P500…「NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法
