大統領辞任先延ばし、デモ隊暴徒化
ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は13日に辞任することを正式に発表したが、その約束が果たされることはなく、抗議者たちは国会付近で警察や治安部隊と一晩中騒乱を繰り広げた。夜間外出禁止令が解除されたのは7月14日の午前5時だった。
警察は、大学生や政治活動家らが中核を担う抗議者たちを、深夜に渡って国会の交差点付近で催涙ガスなどで追い払った。学生らは「自分たちは警察らに武力をもって鎮圧された」とし、報復のために暴力的な行為に及んだと主張している。
今回の事態により、デモ隊側の1人が死亡、70人以上がけがをした。
抗議強まるも軍備強化許可せず
今回の事態を引き起こした一部の主要人物からは、当初は「国会には行かないように」との声が上がっていたという。ラニル・ウィクラマシンハ首相が大統領代行に任命された後も、ラジャパクサ大統領が主張通りに辞任しなかったため、抗議は強まった。
報道によると、モルディブに逃亡したラジャパクサ大統領はシンガポールに向かう見込みで、同国に到着するまで辞任は延期されるという。
スリランカの軍部指導部は、新大統領が任命されるまでの暫定措置を打ち出すよう各政党に呼びかけていたが、党首会談は結論に至らず終了した。野党の首席書記官ラクシュマン・キリエラ氏は、スリランカのシラサ・テレビに、「軍部は議会の占拠を防ぐためにより強力な手段を用いる許可を求めたが、同意しなかった」と語った。
12ヵ月間で50%超のインフレ
スリランカの中央銀行は、クリーン・フロートでもハード・ペッグでもない柔軟な為替レートを運用しており、通貨政策と為替政策が対立するたびに減価につながるため、6月までの12ヵ月間で50%を超えるインフレを引き起こし、3月以降、ルピーを対ドルで200から360まで減価させた。
刺激策を伴う柔軟なインフレ目標の下で貨幣印刷が強化された2015年以降、ルピーは131から370水準まで下落し、経済不安が激化している。