幼児のうちから勉強を始めることはよいことだが・・・
最近「幼小一貫教育(ようしょういっかんきょういく)」が注目されるようになってきました。集団生活のルールを教えるだけでなく、小学校に入学してから始まる学習の基礎をつけるという目標でカリキュラムの充実をはかる幼稚園・保育園が増えています。
「小1プロブレム(※)」は学習に不慣れな子どもが原因となることが多いので、幼児のうちから勉強を始めることはよいことです。しかし、その内容はというと、残念ながら模索中といった園が多いのが現実ではないでしょうか。
具体的には、外国人教師を招いての英会話授業や、専門家を招いての漢字教室や算数教室など、さまざまな園で新しい試みがなされています。また、文字や数の学習など、「小学1年生で学ぶことを前倒しに行う」という学習をしている園も、全国各地にあります。
これらの学習には一定の効果があることでしょう。ただ、「授業」を行っている園とそうでない園が混在しているため、小学校に上がったときに「園で教わったことを、もう一度」ということになる可能性がとても大きいのが問題です。
生活に根ざした「基礎教育」の必要性とは!?
園で授業を受けてきた子どもにとっては退屈な時間になってしまい、「小1プロブレム」の原因となりかねません。さまざまなカリキュラムがある中で、見落とされていると思われるのは園での生活を土台にした「基礎教育」です。
「数」の教育、「図形」「言語」の教育など、幼児の身の回りにあるもので興味を引きつけ、生活に根ざした教育を行うことが、小学校から始まる「学習」の基礎になることはいうまでもありません。
そして、幼稚園・保育園と小学校が連携を取り、幼稚園・保育園で学んだ基礎教育を小学校での学習を通じて定着させることが、子どもの知能を高め、学ぶ力を引き出すのです。それこそが、すべての子どもに必要な「幼小一貫教育」です。
できるだけ多くの子ども達に実践させてほしいと願ってやみません。
※「小1プロブレム」…小学校に入学したばかりの子どもが、授業中にふらふらと立ち歩いたり、教室を勝手に出ていくなどして、授業がすすまない状態を引き起こす問題行動全般のこと。