香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
15日に第二四半期の中国GDPが発表予定
今週15日金曜日に中国の4-6月(第二四半期)のGDPが発表される見通しである。ブルームバーグの調査によると、市場予想では前年同期比1.5%増加となる見通しであり、第一四半期の4.8%増から縮小する見込みである。しかし、一部の見方では上海をはじめロックダウンの影響により景気縮小が示唆されており、今年4-6月の成長率は2020年以来のマイナス成長に陥る兆候があるとも指摘されている。
中国の習近平国家主席は7月に入ってからもゼロコロナ政策を堅持し、年間GDP成長率5.5%を達成するよう指示している。先月からインフラ建設の強化や不動産セクターへの制限緩和、自動車補助金制度の実施等、経済支援政策がこれまで相次いで発表されている。また中国人民銀行の資金供給や、預金準備率の引き下げを実施し、中国経済のテコ入れを促す方針で動いている。
ただ第二四半期が過去一度しか起きたことのない四半期ベースのマイナス成長となると、今秋に党大会を控え非常に厳しい環境になることが見込まれる。第三四半期のGDP予想ベースでは前年同期比4.5%の成長見込みとなっているが、現時点の都市規制や行動制限を織り込むと目標達成は難しく、追加的な景気刺激策が必要となってくると思われる。いずれにせよ、今週控える足元の中国経済のデータに注目が集まると考えられる。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
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連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」