(※写真はイメージです/PIXTA)

一般企業のサラリーマンから大学教員になると、仕事内容はもちろん、常識の違いに驚くことになります。今回は、新人の教員が戸惑いがちなシーンとともに、実際に授業を行う上での注意点について、メガバンカーから大学教授に転身した経験を持つ経済評論家の塚崎公義氏が解説します。※本記事は『大学の常識は、世間の非常識』(祥伝社)の内容の一部を紹介したものです。

新人大学教員に「指導担当係」はつかないので…

民間企業の場合、新入社員には「指導担当係」が割り当てられ、仕事の具体的な内容はもちろん、公私にわたって「社会人の基本」を含め、教えてもらえる場合は多いでしょう。

 

しかし大学では、新しく教員になったからといって、指導担当係を割り当ててもらえるとは限りません。一国一城の主である大学教員を「指導する」ような失礼なことはしない、という建前なのかもしれませんが、新人教員は大いに不安に感じるはずです。

 

大学教員としての最初の仕事は「シラバス」作成です。これは、着任前に「どんな講義をするのか、学生に提示して、学生が科目選択をする際の判断材料にしてもらう」というものなので、着任前にどんな講義をするのか、大枠を決めておく必要があるわけです。

 

シラバスと実際の講義がある程度乖離していても、問題となることは稀でしょうから、神経質に考える必要はありませんが、単位認定方法が試験なのかレポートなのか、といった点は学生の重要関心事項なので、しっかり考えて事前に決めておく必要があるでしょう。

 

講義のやり方も手探りでしょうが、数多くの会議があって、どんな準備をすればいいのか、出席しなければいけない会議なのか、といったことも不明確な場合が多いようです。着任して1年すると全体像が見えてくるので、それまでは不安ですね。

研究室は「個室」…雑談から情報収集するのも一苦労

講義のやり方や、来週の会議の準備方法といったことも、民間企業であれば大部屋で仕事をしている間に周囲の人の話に聞き耳を立てたり、雑談の中でヒントが得られたりするものですが、大学教員の執務室は個室なので、そうした情報が入って来にくいわけです。

 

友人も作りにくいですね。個室であることに加え、教員はそれぞれ専門が異なるので共通の話題が乏しい、といったこともあります。人付き合いが好きではないから大学教員になった、という人はいいのでしょうが、それでも情報が入って来ないと困るということは認識しておきましょう。

 

意外と重要なのは、大学教授相互の人間関係かもしれません。誰と誰が仲が悪いのかを知っておかないと、虎の尾を踏んでしまう可能性がありますから(笑)。

 

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大学の常識は、世間の非常識

大学の常識は、世間の非常識

塚崎 公義

祥伝社

「一国一城の主」である教授は、自由で、楽しくて、天国のような職場――。しかし、そんな「恵まれた職場」である大学にも、違和感はありました。 「大学の常識は、世間の非常識」なのではないだろうか。どうしたら日本の大…

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