「博士号取得→教員に応募」の王道ルートは険しすぎ
大学教授になる王道は「大学卒業後に大学院に進学し、博士号を取得して大学教員の公募に応募する」ことです。しかし、そのためにはコストがかかり、リスクも覚悟する必要があります。
大学時代の同期が就職して給料を稼いでいるときに、無収入どころか授業料を支払わなくてはなりませんし、研究論文の書き方等々を厳しく叩き込まれるのはつらいことに違いありません。
しかも、博士号を取得しても大学教員になれるとは限らず、大学教員になれないからといって、そこから会社員に転身するのは容易ではないため、下手をすれば一生アルバイトをしながら生計を立てるハメになるというリスクもあるわけです。そのあたりのコストとリスクについては、拙稿『【大学教授になる方法】博士号を取得しても…ライバル多数で就職の可能性は常に「未知数」』を併せてご参照いただければ幸いです。
大学教授になれば素晴らしいことが多数あるので、コストとリスクを顧みず突き進む、というのも選択肢でしょうが、本稿では、脇道から大学教授を目指すことでリスクを大幅に削減する、という選択肢を考えてみましょう。
方法①社会人大学院で博士号を取得する
大学を卒業後、就職して給料を稼ぎながら社会人大学院に通う、という選択肢があります。社会人大学院の修士課程なら夜間や土曜日に講義が受けられるところも多いでしょうし、博士課程は主にメール等で指導教官の指導を受けることで、実際に大学に行く回数が極端に少なくてすむという場合もあるようです。
ひとつの方法は、忙しくない仕事を選んで就職し、直ちに社会人大学院に進学する、というものです。働きながらの論文執筆になりますから苦労は大きいでしょうが、正社員としての身分を確保したうえでの教授挑戦ですから、給料ももらえますし、なんといっても教授になれなかった場合のリスクが格段に小さいわけですね。
もうひとつの方法は、普通に就職して出世を目指し、順調に行けばそのまま会社員を続けるけれども、出世競争に敗れたら社会人大学院に通う、というものです。これは、ある程度の年齢になってから大学院に通うことになるため、辛いうえに教授になれる可能性も高くはなさそうですが、出世できなかったときの救いとして可能性に賭けてみる、という意味では悪くないでしょう。
方法②博士号ナシでも、論文が認められれば可能性が…
博士号がなくても、論文を書いて学会で発表して査読を通れば、大学教授からは高い評価を得られるかもしれません。採用を実質的に決めるのは教授会ですから、大学教授が「人間の価値は論文の質と量で決まる」と考えている以上、論文を書くことが非常に重要なわけです。
もっとも大学院では「この論文を参考にして、こういうデータを集めて、こういう分析をしてごらん」といった指導までしてもらえる場合も多いようですから、独学で論文を書くのは容易なことではないはずです。
加えて、論文の書き方には独特の作法があるので、それを大学院で叩き込まれている人はともかく、独学で論文を書くのは相当な覚悟が必要だと思います。