「中世フランス文学の大家が、初級フランス語の授業を…」日本の大学教育、効率化はなぜ必要か?

大学における大学教授の役割は「研究」「教育」「学内行政」と多岐にわたります。しかし、得意な人が得意な分野の専任となることで、もっと組織の動きは効率的に、そして学生たちの教育も充実したものになるのではないでしょうか。バンカーから大学教授に転身し、現在は経済評論家として活躍する塚崎公義氏が解説します。※本記事は『大学の常識は、世間の非常識』(祥伝社)の内容の一部を紹介したものです。

文系の大学教授は、研究内容を教えているわけではない

歴史的に見れば、大学というものができた当時は、研究者のもとに研究内容を学びたい人々が集まって来ていたのでしょう。いまも理科系の学部の場合は、教授の研究室で学生が実験をしながら、教授の専門分野について学ぶことが珍しくないでしょう。

 

しかし、現在の大学の、とくに文系の学部の多くは、教授が狭い範囲を深く研究している一方、学生は広く浅く学ぶわけで、教授は自分の研究内容を学生に教えているわけではありません。

 

たとえば、室町時代の貨幣制度について研究している教授が「金融論」の講義を担当して、日銀の金融政策や株価の変動要因等々について講義をしていることもあるわけです。

 

レベル的にも、一部の難関大学を別とすれば、教授が書いた論文の内容を理解できる学生が多いとは思われませんし、教授も自分が書いた論文の内容を講義で披露することは多くないでしょう。

 

これは、教授にとっても学生にとっても、好ましいこととはいえません。教授は必ずしも自分が得意でない分野のことを教えるわけですし、それ以前の問題として、教えることが得意でない研究者が教授になっているケースも多いでしょうから。

得意な人が得意なことを集中的に担当しては?

大学教授の仕事は「研究」と「教育」と「学内行政」に大別されますが、3つとも得意な人は稀でしょう。それなら、学内行政は事務職員に任せ、教授は研究者になるか教育者になるかを分ければいいわけです。得意な人が得意なことを集中して担当する「分業」ですね。

 

そうすれば、研究が得意な人は研究に専念でき、教育が得意な人は教育に専念できるわけで、本人にとっても、学生にとっても、大学にとってもよいことだと筆者は強く感じています。

国立研究所に研究者を集めれば、研究も効率化できる

大学教授の多くは研究者を選ぶでしょうから、彼らを大学が雇っている必要はありません。研究者が教育を担当しない以上、研究者の給料や研究の予算は、学生の支払う授業料ではなく税金で賄うべきでしょうから、大学が雇うよりも国が研究所を設立して雇うべきでしょう。

 

その際には、全国数ヵ所に設置する国立の研究所に研究者を集めれば効率的でしょう。各大学で似たような研究をしている人がいるならば、共同研究することもできるでしょうし、各大学の図書館にそれぞれ多くの専門書を置いておく必要もありませんから。

 

あなたにオススメのセミナー

    経済評論家

    1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。2022年4月に定年退職し、現在は経済評論家。

    著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』『大学の常識は、世間の非常識』(以上、祥伝社)など多数。

    趣味はFacebookとブログ。

    著者紹介

    連載大学の常識は、世間の非常識!?…元メガバンカーの元大学教授が見た、日本の大学昨今事情

    大学の常識は、世間の非常識

    大学の常識は、世間の非常識

    塚崎 公義

    祥伝社

    「一国一城の主」である教授は、自由で、楽しくて、天国のような職場――。しかし、そんな「恵まれた職場」である大学にも、違和感はありました。 「大学の常識は、世間の非常識」なのではないだろうか。どうしたら日本の大…

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    登録していただいた方の中から
    毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
    会員向けセミナーの一覧
    TOPへ