(※写真はイメージです/PIXTA)

だれだって株の「高値掴み」はしたくないもの。とはいえ、適切な価格の水準を見極めるのは簡単ではありません。そんなときに指標のひとつとして有効なのが「PER」です。シンプルな計算式で導き出せますが、この数値を見ることで株価の割高割安がある程度判断できるのです。しかし、活用に当たって注意点もあります。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

急成長企業の場合、PERが「極めて高い」場合も…

もっとも、他社と比較して「PERが高いから割高」「PERが低いから割安」などというのは危険です。たとえば、急成長企業はPERが非常に高い場合が多いからです。

 

普通の企業は、いまの株価が100円で一株あたり利益が7円というのが普通ですが、急成長企業の場合はそうとは限りません。たとえば10年後に利益が100倍になっているかもしれないとすると、いまの利益が7円でも株価は10,000円が妥当かもしれません。まあ実際には、急成長企業は途中で倒産する可能性もあるので、10,000円で買う人はいないでしょうが…。

「過去の自社のPER」との比較が重要なワケ

他社と比較するより、過去の自社と比較するほうが容易です。過去に比べて企業の規模が3倍になり、利益も3倍になったのに株価が2倍にしかなっていなければ、PERが下がります。そういうときには割安だと考えてよかろう、というわけですね。

 

もっともこの場合も「かつては成長企業だったが、最近は成長が難しくなりつつあり、衰退企業になるかもしれない」というのであればPERが下がるのは当然で、利益が3倍になっても妥当な株価は以前より安い、という場合もあるため要注意です。

大不況のときには、PERは使えない

リーマン・ショックのような大不況のときには、PERは使えないので要注意です。「今期の利益がほぼゼロならば株価もほぼゼロが正しい」というようなことはないからです。

 

今期はリーマン・ショックのせいで利益がほぼゼロだけれども、来年以降はマトモな利益が期待できる、という場合には、来年以降に予想されるマトモな利益を用いてPERを計算して割安割高を判断すべきなのです。

 

実際には、来年以降の利益を予想するのは難しいので、リーマン・ショック前の利益の数字を使います。人によっては、「過去10年の利益の平均」を使ってPERを計算して割高割安の判断をしているようですね。

適正水準の議論は、短期投資には不向き

PER等を使って株価が割安であると判断されたとしても、短期投資の場合には「割安だから買おう」と考えるのは危険です。

 

株価は時としてオーバーシュートしますから、売られ過ぎて割安な水準になったのに、さらに売られ続けて値下がりする、といったことが起きかねないからです。そのあたりについては、拙稿『【株価暴落の恐怖】周到な投機家・呆然の投資初心者…過酷な状況を乗り切る方法は?』を併せてご覧いただければ幸いです。

 

本稿は以上ですが、投資は自己責任でお願いします。なお、本稿は筆者の個人的見解です。また、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧