(※写真はイメージです/PIXTA)

だれだって株の「高値掴み」はしたくないもの。とはいえ、適切な価格の水準を見極めるのは簡単ではありません。そんなときに指標のひとつとして有効なのが「PER」です。シンプルな計算式で導き出せますが、この数値を見ることで株価の割高割安がある程度判断できるのです。しかし、活用に当たって注意点もあります。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

だれだって「株価が割安なとき」に買いたい!

株価の適正水準というものがあるなら、それを下回っている割安なときに買いたいと思うのは当然ですね。割高のときに買えば値下がりリスクが高いですし、割安のときに買って持っていれば、いつかは適正価格に戻るだろうから儲かるはずだ、というわけですね。

 

では、そもそも適正価格とはなんでしょうか。どうやって見つけるのでしょうか。じつは、適正価格を見つけることはできません。「今後10年間の利益がどうなるかを予想して、今後の金利等々の様々な仮定を置いて適正な株価を計算する」といった作業が必要なわけですが、それは無理ですね。

 

そこで、「株価は利益の15倍が妥当」といった倍率を用いて適正価格を考えよう、という「物差し」が「PER」というものです。ほかにも物差しは多数ありますが、代表的なのは「PER(Price Earnings Ratio=株価収益率)」と「PBR(Price Book-value Ratio=株価純資産倍率)」でしょうから、今回はPERについて論じ、PBRについては別の機会に論じることにしましょう。

 

もっとも、PERやPBRをそのまま使えるわけではありません。それらを見ながら「株価は割高に見えるけれども、この会社は今後10年で利益が大きく増えそうだから、問題ない」といった判断をする必要があることには注意が必要です。

株価を「1株あたりの利益額」で割った値=「PER」

PERというのは、上述したとおりPrice Earnings Ratio(株価収益率)の略で、株価を一株あたりの利益で割った値のことです。「株価は利益の15倍が正しい」といった関係があるならば、話は簡単なので、まずは株価を利益で割ってみよう、というわけですね。

 

ちなみに、利益としてすでに発表されている前期の利益を使う場合と、今期の予想利益を使う場合があります。通常はどちらでも構いませんが、大事件によって前期の利益が異常値である場合には今期の予想利益を使う、といった工夫は必要でしょうね。

 

20倍が正しいのか10倍が正しいのか、大まかなイメージを掴むためには平均株価のPERの過去10年の推移等々を見ればよいでしょう。日本株の場合、15倍程度という人が多いですね。

 

ちなみに、PERが15倍ということは、株価が利益の15倍ということですから、株価100円の会社は利益が7円弱ということになります。利益は配当されれば株主のものですし、配当されずに内部留保されれば株価が上がる要因となりますから、要するに100円の株を持っている株主は毎年7円程度の利益が得られると確率的には期待してよい、ということですね。

 

銀行預金の金利がゼロなのに、株を持つと7%が期待できるなら、ぜひ株を買いたい、と思う人もいるでしょうね。筆者もその1人です。もっとも、株は暴落のリスク等もありますから、銀行預金のほうが安心だ、という人のほうが多いようですが。

PERを見れば「株価の比較」が可能になる

PERであれば、大きな会社も小さな会社も、製造業もサービス業も、簡単に比較できます。大きな会社は利益が大きいでしょうが、発行済み株式数が多ければ一株あたり利益は小さな会社と同じで、株価も小さな会社と同じで、PERも小さな会社と同じになるはずだからです。

 

大きな会社で発行済み株式数が少なければ、一株あたりの利益が大きくなりますが、そういう会社は株価が高いので、やはりPERは同じような水準になるわけですね。

 

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