家賃の下落リスクが低い物件とは、将来にわたって高い収益性が見込める物件です。もっとも大切なのが立地です。立地を外してしまうと、いくらそのほかの要素を満たしていても、家賃は築年数の経過とともに下落してしまいます。24,000戸以上を管理する不動産会社の代表の重吉勉氏が著書『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)で解説します。

「家賃滞納リスク」は対応できる

不動産投資を検討するのであれば、絶対に外すことのできない8つのリスクについてまとめました。単なるリスクの内容紹介だけではなく、その回避策、対応策についても踏み込んで紹介しています。リスクを知り、対処法も押さえておけば、マンション経営で安定した利益をあげることが可能です。

 

それでは1つずつ確認していきましょう。

 

重吉勉著『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)より。
重吉勉著『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)より。

 

▶リスク③滞納/二重の対策でリスクを抑える

家賃の滞納は、後手に回れば回るほど回収が困難になります。なかには、もう何年も滞納を続けて家賃が100万円以上滞っているようなケースもあります。

 

滞納しているからといって、すぐに入居者を追い出すわけにもいかないので、その点、一度発生するとやっかいなのが滞納の特徴です。

 

とはいえ、実は滞納リスクに対しては多くの場合、二重のリスク対策が取られていますので、過度に心配する必要はありません。

 

■まずは家賃保証会社をつける

 

入居希望者と賃貸借契約を結ぶ際は、万が一の滞納に備えて家賃保証会社との契約を行いましょう。賃貸物件に住んだことがあるなら、お部屋を借りるにあたってご両親や親族に連帯保証人になってもらったことがある方も多いのではないでしょうか。実はここ数年で、万が一のリスクに対して保証人を立てるケースはかなり限定的になっています。これは民法の改正による影響です。

 

これまでは、入居者の家賃滞納などが発生した場合、その責任を連帯保証人が本人同様に担ってきました。2020年4月に行われた民法改正後は、個人保証人の保護の観点から、保証人が負担する最大限度額を契約で定めなければ、保証は無効とされました。この最大限度額である「極度額」が契約書で明確に規定されていなければ、保証契約自体の効力が生じないのです。

 

そこで現在の賃貸借契約では、保証人ではなく、家賃保証会社との契約を入居者に義務付けることが多くなりました。万が一、入居者が滞納したとしても、家賃保証会社が代わりに家賃を支払ってくれるので、あなたの家賃収入が滞ることはありません。

 

■滞納保証がある賃貸管理会社を選ぶ

 

また、賃貸管理会社と管理代行契約を結ぶ際に、滞納保証の有無を確認しましょう。基本の契約プランのなかに滞納保証がつけられていたり、有料のオプションとしてつけたりもできます。こちらも利用すればさらに滞納リスクを抑えることができます。

 

注意が必要なのは、中古物件の購入時に住んでいた入居者との契約です。中古物件ではオーナーチェンジといって入居者が住んでいる状態で売買されるのが一般的です。この元々の入居者に保証人がついているケースでは、万が一家賃の滞納などが起こった際に保証人に保証能力がない場合、賃貸管理会社の管理代行契約の内容によって滞納が保証されることになります。

 

賃貸管理会社によって、自社で募集していない入居者の家賃滞納に対する取り扱い方は異なります。たとえばわたしの会社では、ご紹介した物件の入居者が滞納をした場合には一律に滞納家賃を全額保証していますが、会社によっては、あくまでも自社で募集をした入居者に限定するとして保証の対象外にすることもあるのです。このような際は、賃貸管理会社の家賃回収能力が問われます。

 

滞納といっても、そのほとんどでは入居者に悪意はありません。振込忘れや残高不足など「ついうっかり」のことが大半であり、しっかりコミュニケーションを取ることで再発を防止できます。

 

しかし、さまざまな事情で生活が困窮してしまい、家賃を振り込むことができない深刻なケースもなかにはあります。こうした生活再建自体が求められる場合でも、賃貸管理会社のなかに専門の対応部署があると迅速に解決へと進めることができます。賃貸管理会社選びの1つの基準として、滞納発生時の条件によって保証内容が異なるのか、また会社のなかで専門の部署があるのかを、確認しましょう。

 

次ページ家賃下落リスクが低い収益物件とは

本連載は重吉勉氏の著書『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。なお、データは出版時点の情報に基づいています。

不動産投資が気になったらはじめに読む本

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