「認知症、まだ軽いから大丈夫」?施設入居に至る患者と家族の知られざる実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

「まだ大丈夫と思いたい。でも、知っておけば準備できる。」高齢者認知症外来・訪問診療を長年行ってきた専門医・近藤靖子氏は、書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』のなかで、家族が悩みを抱える「物盗られ妄想や被害妄想などの精神症状」「昼夜逆転や夜間せん妄、屋外に出て行ってしまう徘徊」について解説しています。

患者家族が悩みを抱える…認知症の「妄想」3つの特徴

2019年の夏に千葉県佐倉市で認知症をテーマにした同じ内容の講演を2回行いました。

 

場所は、1回目はユーカリが丘の志津北公民館、2回目は京成電鉄佐倉駅前のミレニアムセンターでした。

 

タイトルは「認知症のリアル」、そして副題は「10年の認知症診療経験から」として、実際に認知症の介護に関わっているご家族の方々の、対応が困難な例を紹介しました。

 

認知症、特にアルツハイマー型認知症は、次第に進行していく病気です。対策としては、認知症が今よりさらに進行することを予測して、早めに十分な介護の環境を整えることが大切であることをお話ししました。

 

高齢の家族が認知症になり、症状がだんだん進行してくると、同居や近居の家族の負担も次第に増してきます。また、「これからどうなるのだろう」「どうすれば良いのだろう」という不安も大きくなってきます。

 

そういった方々は、対応に困り、いろいろな疑問を感じていることでしょう。そういう関心の高さをうかがわせるように、私の講演会でも申込者が予定を大幅に超えるほどでした。

 

また、講演のあとの質疑応答でも活発に意見や質問が出ました。それによると、物盗られ妄想や被害妄想などの精神症状で困っているというご家族が多くいらっしゃいました。

 

認知症では物忘れがひどくなり、次第に日常生活に介護が必要になってきますが、それは一般の家族の方々も良くご存じで、理解されています。

 

ところが、物盗られ妄想や被害妄想などの精神症状が出てくると、明らかにおかしいと思って戸惑ったり、理解できずに困ったりします。

 

普段の会話で「妄想」と言う時は、「空想」や「想像」などの軽い意味で使われることが多いです。

 

しかし認知症は脳の病気なので、ここで言う「妄想」は、精神科領域で使われる、「間違った認識」のことです。そして、この「妄想」には3つの特徴があります。

 

それは、①本人は絶対に正しいと確信している、②否定をしたり、証拠を見せたりしても訂正ができない、③現実離れした内容である、ということです。

 

家の中で自分の持ち物が見当たらない場合、普通は「自分がどこかに置き忘れた」と思います。ところが、認知症が中程度に進んでくると、「誰かが盗った」と思い込みます。

 

しかも、盗んだのは、自分の身近にいる人であると結論付けてしまいます。

 

物忘れがひどくなっているので、自分がどこかに置いた記憶はまったくない、そして、盗ったのは、自分の身近にいたり世話をしている、家族やヘルパーであるはずと直感し、信じ込みます。

 

盗られた物も、時計や金銭ならあり得ると思えますが、認知症の物盗られ妄想では、洗濯済みの自分の下着や入れ歯、果ては庭の草刈り鎌が盗られたなどと主張してきます。

 

これらの個人的な持ち物は、わざわざ盗む価値があるとはとても思えませんが、本人は大真面目なので、そんなことはない、違うと否定しても聞き入れてくれません。

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    著者紹介

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    本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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