資本主義は、イノベーション創出に必須の仕組みだった
アメリカの資本主義を成功者が得る巨額の富やそれによって生まれる格差が大きいという問題から否定したり、揶揄する風潮が日本にはあります。確かに格差是正という課題は残ります。しかし積極的に評価すべきは、誰もが社会を変える大きなインパクトのあるアイデアを容易に試すことができ、たとえ失敗してもチャレンジが続けられることです。そしてそのなかから優れたアイデアが産業として育ち、新製品やサービスとして社会に定着していく力を社会が全体としてもっているということです。失敗はむしろ評価され、次の挑戦を後押しするという土壌があるのです。
オックスフォード大学経営大学院のマンゴー・ウィルソン教授はこう言っています。「人類が生み出した資本主義が前提とする自由取引が重要である本当の理由は、おそらく配分効率ではなく、それが創造的破壊からのイノベーションを生み出す仕組みであったためだ」と。イギリスで誕生しアメリカが輸入した資本主義は、イノベーションという人類社会進化の新たなプロセスにとって必須の仕組みでした。
太田 裕朗
早稲田大学ベンチャーズ 共同代表
山本 哲也
早稲田大学ベンチャーズ 共同代表