(※写真はイメージです/PIXTA)

いくら天才的な頭脳の持ち主がいて先進的な技術の種があっても、社会の仕組みが彼らのモチベーションを喚起し、トライアンドエラーへと立ち上がらせるようなものになっていない限りイノベーションは生まれません。19世紀イギリスで「産業革命」というイノベ―ションが成立したのは、単に「蒸気機関が登場したから」ではなく、これらが当時のイギリスにあったからでした。イノベーションを起こすには何が必要か。本稿では、イノベーション大国・アメリカを例に見ていきましょう。

資本主義は、イノベーション創出に必須の仕組みだった

アメリカの資本主義を成功者が得る巨額の富やそれによって生まれる格差が大きいという問題から否定したり、揶揄する風潮が日本にはあります。確かに格差是正という課題は残ります。しかし積極的に評価すべきは、誰もが社会を変える大きなインパクトのあるアイデアを容易に試すことができ、たとえ失敗してもチャレンジが続けられることです。そしてそのなかから優れたアイデアが産業として育ち、新製品やサービスとして社会に定着していく力を社会が全体としてもっているということです。失敗はむしろ評価され、次の挑戦を後押しするという土壌があるのです。

 

オックスフォード大学経営大学院のマンゴー・ウィルソン教授はこう言っています。「人類が生み出した資本主義が前提とする自由取引が重要である本当の理由は、おそらく配分効率ではなく、それが創造的破壊からのイノベーションを生み出す仕組みであったためだ」と。イギリスで誕生しアメリカが輸入した資本主義は、イノベーションという人類社会進化の新たなプロセスにとって必須の仕組みでした。

 

 

太田 裕朗

早稲田大学ベンチャーズ 共同代表

 

山本 哲也

早稲田大学ベンチャーズ 共同代表

 

 

※本連載は、太田裕朗氏、山本哲也氏による共著『イノベーションの不確定性原理 不確定な世界を生き延びるための進化論』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

イノベーションの不確定性原理 不確定な世界を生き延びるための進化論

イノベーションの不確定性原理 不確定な世界を生き延びるための進化論

太田 裕朗
山本 哲也

幻冬舎メディアコンサルティング

イノベーションは一人の天才による発明ではない。 そもそもイノベーションとは何を指しているのか、いつどこで起き、どのようなプロセスをたどるのか。誕生の仕組みをひもといていく。 イノベーションを創出し、不確定な…

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