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国内使用木材の「約6割」が輸入頼みの日本
昨今、「ウッドショック」という言葉を耳にする機会が増えてきました。ご存じない方のためにざっくり説明しますと、「住宅などを建設するための木材が世界的に不足している状況」のことをいいます。
ここで、世界中がウッドショックに陥っている原因について探ってみたいと思いますが、その前に、日本はどのくらい海外からの輸入木材に依存しているのか見てみましょう。
じつは、日本は国内使用木材の約6割を輸入に頼っています。「輸入木材が不足しているのなら国産木材を利用すれば?」と考える人もいると思いますが、日本の林業従事者の高齢化率は、全産業平均と比べ高水準で、後継者・人手不足は非常に深刻です。
そういった背景もあり、国産木材に期待することは難しいのです。
木材はどこから輸入している?
次に、日本がどんな国から木材を輸入しているのか品目別に見てみましょう(※参考資料:林野庁『2021年の木材輸入実績』)
●「丸太」輸入量
丸太とは、森林から切り出された原木そのまま、または樹皮を剥いだ状態で出荷される商品です。住宅建築では飾り柱や化粧梁などに使われます。
もっとも輸入量が多いのは米国(57.3%)、次いでカナダ(28.3%)、ニュージーランド(11.6%)の順で、総輸入量は前年比で15%上昇しています。
2021年度は米国・大手丸太輸出業者の撤退や、カナダ・大手丸太輸出業者の自社有林の伐採停止などもあり資材調達は困難を極めました。
●「製材」輸入量
製材とは、原木を製材機械で挽き切って角材や板材に生成した商品で、その製材方法から「挽き材」とも呼ばれます。住宅建築では角材は躯体や建具に、板材はフローリング材などに使われます。
もっとも輸入量が多いのはEU(44.5%)、次いでカナダ(25.4%)、ロシア(17.5%)で、総輸入量は前年比で2%減少しています。これは米国・大手製材輸出業者が日本向け供給から撤退したことも影響しているようです。
●「合板」輸入量
合板とは、丸太をかつらむきにした薄い板を、木の繊維方向が交互(または直角)になるように貼りかさねた商品です。住宅建築では屋根材や床の下地材、壁パネルなどに使われます。
もっとも輸入量が多いのはマレーシア(42.6%)、次いでインドネシア(38.3%)、ベトナム(11.1%)で、輸入量は前年比で12%上昇しています。これはインドネシアが港湾混乱で北米へ輸出できなくなった商品を日本への輸出に切り替えたことも影響しているようです。
●「集成材」輸入量
集成材とは、複数の板を貼り合わせた板状の商品です。天然材に比べて強度や耐久性に優れているため、住宅建築では柱材や梁材として使われます。
もっとも輸入量が多いのはEU(75.8%)、次いで中国(9.6%)、ロシア(8.7%)で、総輸入量は前年比で5%減少しています。これは米国や欧州における木材需要の高まりや、海上輸送の混乱等によるものと思われます。
●「木材チップ」輸入量
木材チップとは、スギやヒノキなどの木材を細かく砕いた商品のことです。住宅建築では庭や花壇に敷き詰めて雑草が生えるのを防いだり、また住宅以外では紙・パルプの原料などに使われています。
もっとも輸入量が多いのはベトナム(37.6%)、次いでオーストラリア(17.7%)、チリ(9.6%)で、総輸入量は前年比で16%上昇しています。2021年以前はペーパーレス化で需要が下降気味でしたが、コロナ禍の影響でネット通販のパッケージングが増加したためふたたび需要が高まっています。
●「木質ペレット」輸入量
木質ペレットとは、乾燥して細粉した木材に圧力をかけて小さな円筒形に圧縮成形した商品です。主にストーブやボイラーの燃料として使われ、近年人気が高まっている「ペレットストーブ」もこれを燃料として使用しています。
もっとも輸入量が多いのはベトナム(52.8%)、次いでカナダ(33.9%)、マレーシア(5.0%)で、輸入量は前年比で54%上昇しています。
これら木材全体の輸入額割合を見ると、1位はEU(13.9%)、2位は中国(13.5%)、3位はカナダ(12.3%)で、総輸入額は前年比で30%上昇しています。