(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍によるサプライチェーンの混乱は、日本の不動産賃貸業にも少なからぬ影響を及ぼしています。ひとつは半導体不足による給湯機・エアコン供給の遅れ、もうひとつは木材資源の不足、すなわち「ウッドショック」です。本記事では、「ウッドショック」の概要とともに、賃貸経営に与える影響や今後の回復見通し等について見ていきます。

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    世界情勢を見たら、ウッドショックの原因も見えた!

     

    木材に関わる世界情勢を俯瞰すれば、ウッドショックがなぜ起きたかが見えてきます。

     

    ●米国の状況

    コロナ禍によるテレワークの増加と住宅ローンの低金利化が相まって住み替え需要が高まり、それにともない木材価格が急騰しています。そこに輪をかけ、コロナ禍による作業人数制限や業務停止の影響で木材輸送船舶を受け入れる港湾の処理能力が低下し、複数のコンテナが港に滞留したまま動けなくなっています。この結果、世界的なコンテナ不足となったため、木材の輸送費までもが高騰してしまったのです。

     

    ●カナダの状況

    2021年夏、例年にない熱波に見舞われたカナダでは大規模な山火事が多く発生したため、輸出用木材の伐採量が激減しています。さらに追い打ちをかけるかのように記録的な豪雨にも見舞われ、木材輸送の主要ルートまでもが寸断されてしまいました。

     

    ●東南アジアの状況

    マレーシアやインドネシアでは、コロナ禍により合板等の生産ラインがストップ、加えて林業従事者の移動制限により原木供給も滞っています。

     

    各国の状況を見ると、ウッドショックの原因はコロナ禍の影響ばかりではなく、例年にない異常気象や輸送システムのもろさにもあるように見受けられます。

    現場施工業者は、状況をどう見ている?

     

    ウッドショックが続くと、賃貸不動産の現状回復リフォームの工期や予算にも影響がおよぶことになります。1ヵ月前に取った工事見積価格が上がってしまったり、エアコンや給湯器の調達が遅れて工期が延びるようなことも起こる可能性があります。

     

    ウッドショックはいつまで続くのか? 不動産投資家にとっても気になるところですが、リフォーム工事を手掛ける工務店経営者はどのように受け止めているのでしょうか。

     

    木材の調達の状況については工務店の多くが「悪化している」と感じています。木材価格は1~2割値上がりしており、それに伴いプレカット単価も坪額1~3万円程度値上がりしています。

     

    これら木材価格の高騰分を顧客への請求に上乗せすることははばかられるようで、多くの工務店がコストアップの負担分を自社で一部負担、または全額負担しているといいます。とはいえ各社とも資金繰りへの影響は少なく、受注状況も横ばいで推移しているとのことです。

     

    気になる木材調達、そして木材価格高騰の見通しについては「先行き不明」と答える工務店がほとんどで、ウッドショック脱出の糸口はいまだつかめていない様子です。

     

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    ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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