本当に「インバウンド」に期待していい?
■外国人観光客が戻ってくれば、日本経済は復活するのか
インバウンドの受け入れ再開による消費回復に、旅行業界、観光業界、飲食業界と各業界から期待が高まっています。インバウンドによる海外からの需要がコロナ禍前の水準に回復するには時間を要しますが、観光入国が本格化すれば、円安も追い風になり経済の活性化を促す可能性が高いとみる評論家も多いところです。
しかし、本当にインバウンド需要に期待して良いのでしょうか? 円安に喘ぐ国内消費が外国人観光客によるインバウンド消費により外貨流入に繋がり、日本円を必要とする外国通貨が増えれば、円高に戻る可能性はあります。
過去、19世紀のイギリスは産業革命によって世界の工場と呼ばれました。20世紀になってからはイギリスが衰退し、代わってアメリカと日本が、21世紀になってからは中国が世界の工場と呼ばれることになりました。日本が取ったグローバル戦略は自然豊かで歴史のある特徴を生かした観光立国です。資源に乏しい日本では、製造業でのプレゼンスを中国に譲ってからは、IT分野や半導体製造においても台湾、韓国、中国にその地位を奪われています。
日本の主要産業である自動車業界に至っても、電気自動車のグローバルスタンダードをいち早く取り入れなかったために、日本を代表するトヨタ自動車でさえ後塵に拝している感が否めません。
コロナ禍前はインバウンドによる経済循環が日本景気を支えていたことは確かです。しかし、インバウンド消費に頼っていたことで新型コロナウィルスによる経済低迷の影響は他国以上にダメージを日本に与えたとも言えます。
新型コロナウィルスがもたらした効用として、働き方改革という新しい就業形態があります。在宅勤務によるメタバース空間での新ビジネス、WEBを活用したコンサートといった集客システムなど、新たな発想と考え方を持つ必要に迫られているのではないでしょうか。
では、インバウンドに期待する以外で日本を復活させるカギには何があるのでしょうか?非常に難しい課題です。Web3.0に向けた新しいビジネス、宇宙開発事業など様々な分野で事業拡大を目指している方がいますが、どの分野でもマーケットが成熟した現代において、新しい成長分野を創出することこそ、世界各国がしのぎを削って探っている課題でもあるのです。