資産防衛は「長期・分散・積立」が基本
■日本人の「貯蓄好き」こそ、本当のリスク
経済全般が成長していない状況下で保有資産を守る方法として、5月30日、自民党の経済成長戦略本部は、投資による資産運用である「1億総株主」の目標を掲げた提言を政府に申し入れました。欧米と比べて、日本の家計資産は「預金の割合が非常に高い」と指摘し、岸田総理大臣が掲げる「貯蓄から投資へ」の流れを促進するため、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的な拡充などを求めています。
確かに投資は、あまり身近なものとして利用されていませんでした。また、投資商品の種類も株式だけでなく、債権、投資信託、不動産投資、外国為替証拠金取引(FX)、派生商品(デリバティブ)、生命保険商品、現物投資、暗号資産投資など様々です。
しかしながら、資産防衛手段は「長期・分散・積立」が基本です。
新しい金融商品が一つの選択肢として紹介されたときに、自己の資産を運用するために必ず「長期・分散・積立」を意識してください。複数の異なる動きをする投資商品を組み合わせて利用することを「アセット・アロケーション」と言います。
プロのトレーダーであってもアセット・アロケーションは必ず意識しています。自己資産を現預金だけに集中投下していることが逆にリスク(物価上昇時に実質目減りする)を大きくしていることにお気づきになったのではないかと思います。
これからの時代を生きていくために
■資産の多寡にかかわらず「投資」が必要
総務省が公表した人口推計によると、2021年10月1日時点の総人口は前年比64万4,000人(0.51%)減の1億2,550万人になっています。これは、鳥取県の人口57万3,000人が一年にして消滅したことに匹敵します。
厚生労働省が『令和2年版 厚生労働白』の中で公表している「出生数、合計特殊出生率の推移」からも、劇的な人口減少に歯止めがかかることは想像できません。
消費マーケットが成熟し、かつ購入者が減少する国内に目を向けた商材で勝負することは難しいと理解いただけると思います。視点を変えて海外で勝負するためには、外国企業と競争し勝てる商品やアイディアが必要とされます。
すぐには新しい発想や事業にチャレンジできないという方は、日本経済に回復の兆しが現れるまで、自己の資産を自分自身で守るために投資に目を向けざるを得ません。大きな資産を保有していない方であっても、少額の資産を効率よく運用していく長期・積立が求められているのです。
笹田 潔
1級FP技能士
宅地建物取引主任士
投資診断士
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