レントゲンとはX線の使い方が異なる「CTスキャン」
レントゲン写真と並んでよく耳にするCTは、(Computed Tomography:断層影像法)の頭文字をとったもので、コンピューター断層撮影とも呼ばれる技術です。CTはレントゲン写真と同じく、X線の透過度合いを画像化する技術なのですが、レントゲン写真とはX線の使い方が大きく異なります。
レントゲン写真では[図表3]に示すようにX線を撮影対象に対して〝面〞で照射して、その透過度合いを記録します。
それに対してCTでは、面ではなくビーム状(直線状)のX線を用います。撮影対象に向かってビーム状のX線を、360度の様々な角度から何回も照射して、体を透過したX線を検出器でキャッチし、それぞれのX線の強さをデータとして記録します。そして、このデータをコンピューターで再構成処理することで断面の画像をつくり出すのです。
Tomographyと呼ばれるこの再構成処理技術こそが、CTの肝です。
コンピューターが不可欠…CTのしくみ
まず、[図表4]のように、撮影したい空間を格子状に分割して認識します。といっても実際に切り分けるのではなく、住所の番地のように、それぞれの場所を異なった要素として認識するのです。分割されたそれぞれの区域を画素(ピクセル)といいます。
通常は、一つの断面の縦横それぞれを512分割、つまり512×512=26万2144個の画素に分割する場合が多いようです。
画素数、つまり分割する数を増やすほど、より詳細な画像データが得られるのですがコンピューターの負担は増していきます。今後はコンピューターの処理能力向上に伴って、もっと解像度は上がっていくでしょう。
ここでコンピューターが行なっている処理を、[図表5]に示す4マスのモデルを使って説明してみます。まず、未知の数字が入っているそれぞれのマスをA、B、C、Dとします。
次に、数字の和がわかっているとします。たとえばA+B=10、A+C=8、A+D=8だとしましょう。でもこれだけでは未知の数字は決まりません。そこでさらにC+D=14とします。すると4つの未知数の組み合わせ、A=1、B=9、C=7、D=7が決まります。
このように、[図表5]のようなマス中の4つの未知数を求めるためには、4つの連立方程式を立てて、それを解く必要があります。未知数の個数と同じ数の連立方程式をつくり、解かなければいけないのです。
では、縦横それぞれを512分割するとどうでしょう。512×512=約26万マスありますから、それぞれに異なる数値が未知数としてあるとき、26万もの連立方程式を解く必要があります。人の頭ではとても不可能でしょう。だから、CTにはコンピューターによる計算が必要なのです。
CT画像は「写真」ではない
では、この「マスの数字の組み合わせを求める作業」が、どのように人体の断面画像につながるのでしょうか。
CT画像を撮影するときには、[図表6]のように、照射装置によって様々な向きから何度もビーム状のX線が照射されます。また、X線の検出器も設置しますから、X線は、「照射装置→皮膚→脂肪→筋肉→胃→膵臓→内臓脂肪→骨→筋肉→脂肪→皮膚→検出器」などといった道のりを経て検出器に達します。
X線の透過度合い(吸収されやすさ)は部位によって異なりますから、照射されたX線は、様々な強さで検出されます。
この強さをコンピューターの解析にかけ、数万通りの連立方程式を解かせることで、それぞれのマスにある人体の部位がどれだけX線を吸収したのか算出するのです。
そして1マスごとのX線の透過度合いに合わせてマスに色をつけていけば、下にあるような画像を得られます。
つまりCT画像とは、コンピューターによって画像として再構成されたX線の透過度合いのデータです。直接的に写真を撮影しているわけではないのです。
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