(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年の第1四半期のM&A市場は、2021年の第1四半期ほどの実績には及びませんでした。2021年の活発な上昇のあと、ディールメーキングはここ数ヵ月で緩和されましたが、この2022年の第1四半期の動きは、この先なにが起こるかを、より明確に示しているといえます。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。

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    米州でのM&Aは「慎重姿勢」

    米州のディールメーキングはここ数ヵ月、下降傾向にあります。2022年第1四半期のディールメーキングは、前四半期から減少しましたが、状況から見て、衰弱したとはいいがたいものです。

     

    2021年は、世界の多くの地域においてM&Aが史上初といえる爆発的増加を見せましたが、年間ではより顕著な減少も見られたため、単純な比較とはなりません。この点を考慮すると、2022年第1四半期については、少なくとも当面は不穏な減少ではなく、好調な推移後、平均値へ回帰すると見るのがよいでしょう。

     

    最も好調なセクターのうち、技術・メディア・通信(TMT)セクターは、発表された全取引の36%を占め、そのペースは衰えていません。

    EMEAの市場を揺るがす「戦争」と「インフレ」

    第1四半期、世界中のM&A市場と同じように、EMEA市場も例外なく活気を失いました。

     

    年初は、インフレに対する懸念と物価抑制のための金利上昇の懸念から、成長株が売られる展開となりました。これは、ロシアのウクライナ侵攻とともに信用が低下し、サプライチェーンが再び混乱した影響で、数十年ぶりのインフレ圧力の高まりを見る以前のことです。

     

    このような状況から予想されるように、EMEAを構成するさまざまな市場におけるディール件数は、小規模な市場における大型の例外的ディールを除いて、概ね減少傾向にあります。

     

    技術・メディア・通信(TMT)セクターは引き続き好調であり、これはすぐに変わることはないと思われます。

    APACのM&A活動は「平均値」に

    APACのディールメーキングは、米州やEMEAのM&Aより急激な落ち込みとはなりませんでしたが、これは2021年の第1四半期が他地域と比較し堅調でなかったことが理由です。

     

    オーストラリアは、2021年のロックダウンの間に家計へ貯蓄が蓄積され、一般消費とGDPの成長に拍車がかかり、成長の勢いを取り戻しました。APACのディールメーカーは、今後数ヵ月間、工業・化学品セクターで最も活発な動きが見られると予想され、この地域の投資家にとって、テクノロジーセクターは引き続き、長期的な投資先となるでしょう。

     

    DatasiteのDeal Driversレポート※1において、EMEA地域※2、米州※3、APAC地域※4の現地市場の動きを調査し、M&Aトレンド、トップディールと入札者、将来の課題、セクター別の情報など、世界各地のM&A状況をさらに詳細に解説しています。

    ※1 www.datasite.com/us/en/resources/insights/reports/deal-drivers-hub0.html

    ※2 www.datasite.com/us/en/resources/insights/reports/deal-drivers-emea-q1-2022.html

    ※3 www.datasite.com/us/en/resources/insights/reports/deal-drivers--americas-q1-2022-report.html

    ※4 www.datasite.com/us/en/resources/insights/reports/deal-drivers-asia-pacific-q1-2022.html

     

     

    清水 洋一郎
    Datasite 日本責任者

     

     

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