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リモートワークの影響で「サイバー攻撃増加」に懸念
近年の急速なデジタル化により、サイバー攻撃数の増加が懸念されています。とくにコロナ禍によるリモートワークの影響で、その傾向が顕著になっています。デジタル化と厳しい地政学的状況により、企業のサイバーセキュリティとデータ・プライバシーの義務に関する規制はますます厳しくなっているのです。
中国では、2017年の「サイバーセキュリティ法」を皮切りに、ここ数年でデータセキュリティを管理する新しい法的枠組みが導入されています。2021年9月には、国内で収集・保存されるデータを、国家安全保障に与える潜在的な影響度に応じて分類するシステムを確立した「データセキュリティ法」が成立しました。その後、2021年8月に成立、11月に施行された「個人情報保護法」が加わっています。
新たな規制の導入や規制強化により、M&Aを含め、新たな投資機会と課題が発生しています。欧州と中華圏では、それらに対応するために異なるアプローチをとっています。
欧州では、サイバーセキュリティ関連M&Aが活発化
企業が自社のシステムとのギャップを埋め、信頼性を高めるために、欧州ではサイバーセキュリティ関連のM&Aが活発化しています。2021年、世界で公式に発表されたサイバーセキュリティ関連のM&A案件は435件で、そのうち130件は欧州での案件です。ディールの大半は英国で、少し空いてドイツと3位のアイルランドが続きました。
今年は、高品質な資産、充実したサイバーセキュリティ関連のスタートアップ企業、サイバーセキュリティの問題がビジネスのあらゆる面に浸透しているという理解の高まりなどが、継続的に求められる傾向が続くことでしょう。
欧州におけるデジタル・セキュリティの有力案件としては、下記のようなものを見ることができます。
●サイバーセキュリティのための機械学習を専門とする英国のソフトウェア会社Darktraceによる、オランダのCybersprint社の買収
●バーレーンに拠点を置くテクノロジー投資家Investcorpによる、イタリアのサイバーセキュリティ会社HWG社の買収
●民間航空宇宙市場へのシステム提供を中心とするフランスの防衛・技術グループThalesによるスペインのサイバーセキュリティ会社S21secと、ルクセンブルグに本社を置くExcellium社の買収
中国は規制強化の影響がM&AやIPOの課題に
一方中国では、最近の規制強化により、移行期間の短さや、一部の規定が曖昧であることなどから、M&Aを実行する上での課題が生じています。
非競争的行為の防止を目的とした広範な施策の一環として、コンプライアンスルールの厳格化は組織に重くのしかかり、M&Aにおけるリスクを悪化させます。また、場合によっては、バイサイドとなる企業は、より監視の目が緩く、責任の少ない代替となる取引構造を追求せざるを得なくなるかもしれません。
中国の技術・メディア・通信(TMT)業界、とくに「重要な情報インフラ」を運営していると見なされる組織は、これまでで明らかに経済的な影響を最も受けています。しかし、「重要な情報インフラ」は新しい法律では定義されておらず、解釈の余地がまだ残っています。
また、上場への影響はより顕著に現れています。2月中旬時点で、100万人以上の個人情報・ユーザー情報を保有する中国のインターネット企業は、香港を含む海外に上場する前に、中国のサイバー空間管理局が管理するネットワークセキュリティ審査に参加することが義務づけられました。こうした動きの中で、企業はある種の曖昧さが解消されるまでは、大掛かりな動きは控えたくなるのかもしれません。
信頼、プライバシー、コンプライアンス、セキュリティは、効果的なディールメーキング戦略およびプロセスの中枢を担っています。
清水 洋一郎
Datasite 日本責任者
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